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概要

ホメオパシー的災害対策

16 まえがき「なぜ生きるのか?」なんて植物は考えていないんだよ。芽を出し花を咲かせ実がなり種が土に落ちる。それがすべてだから植物は感嘆するぐらい美しくおのおのが完璧なのだ。「なぜ生きるのか?」と自分に問いかけたとき自分の身に起こった苦しみを受け取りたくなかったんだよね。作物が育たなかったときも、なぜ育たないと怒ったよね。雨は降りしきり、風は吹き荒れ、雪は重く植物にのしかかる。日照りで一滴の露もない乾いた大地にも植物は生えようとする。自然のなすがままに身をまかせる偉大な植物たちよ。君たちこそ我ら人間に自然に生きることを教える教師である。青々としたムギは喜びに溢れていた。ダイコンははち切れそうなほどの命に満たされていた。彼らは知っている。生きているのではなく生かされていることを。自分が自然の一部であることを知っているから生きることがすべてなのだ。私も自然の一部となり、生きることがすべてとなるときがくるだろうか。生きることがそのまま生きる目的となり、生きることがそのまま喜びとなるときがくるだろうか。それでも畑にいて一生懸命生きている彼らを見ていると、ちっぽけな自分のこだわりや欲がポロポロとはがれ落ちていく。そうやって何年も畑仕事をしていたら、自分本来の命が輝き出てきた。だから今は、手塩にかけて育ててできたものをありがたくいただき、できなかったときも受け入れ、オロオロしながら元気に育つように考える。これこそが自然に生きるということ。その目で見れば周りは感激に溢れていた。生きることを喜んでいる小さな菌たちがいた。昆虫たちがいた。与えられた命を全うしているものたちで溢れていた。命にいやさか!──『豊受』2014年夏号(日本豊受自然農)の巻頭詩より引用