愛は治癒力を活性化する

愛は治癒力を活性化する page 19/38

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概要:
心理学, 心理療法, 愛

17 第1 章 性格と運命を決めるもの 私はこの症例から、ある貴重なことを学んだように思いました。 すなわち、この女性は、「老人」さえ現れなければ健康だったわけです。その他のことについては良識もあり、まともにやりとりができていたのです。彼女を健常な状態から逸脱させていたのは、この老人だったのです。老人の正体は、ある種の複合観念であり、何らかのトラウマによって生じた仮面(ペルソナ)として説明できると思いますが、医学的には、彼女の人格が病んでいると解釈されるでしょう。 しかし私は、こうした妄想は、彼女自身の人格とは切り離した方がよいと思ったのです。つまり、彼女の妄想は、彼女自身の人格が病んだ結果ではないと考えたのです。 たとえば、よく漫画などで、天使と悪魔が頭の中で会話している様子が描かれたりしますが、これは心の葛藤を象徴的に表現しているわけです。しかし、天使と悪魔の真ん中に自分がいて、どちらの言い分を選ぶかは、自分に任せられています。 つまり、選択ができる「自分」そのものは、病んでいないことになります。 心の中に、天使や悪魔として描かれる、ある種の「別の人格」が宿っていることは、誰にでも当てはまることであり、それ自体は、異常なことではありません。 ところが、その「別の人格」が、自分、つまり「本当の人格」に対して強く干渉し、それに振り回されてしまったとき、異常な事態が生じるのです。それが、統合失調症をはじめとする精神疾患であると考えられるのです。