目に見えない病気

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概要:
目に見えない病気, ホメオパシー, 精神疾患

4に関するもの(一五三〇年以降)、『目に見えない病気』(一五三一年以降、完成はさらに数年後)と執筆を進めていきます。充実した多産ぶりです。この『目に見えない病気』は『オプス・パラミールム』の次に書かれたとされています。つまり、パラケルススの精神医学書は、彼自身の医学の体系化と並行して書かれたと言ってよいでしょう。体系化に向けて完成しつつありながらも、そこから出て前進する試みも同時に行われていました。その試みの一端は、本書における想像力の働きの重視に見ることができます。見通しを立てるために、この概念を巡って彼の営為を簡単に整理してみましょう。まずは、同時期に書かれたペスト論に注目します。パラケルススによれば、ペストは、人間の内における嫉妬や憎悪などに染まった想像力が天空に働きかけ、その天空の星が今度はミクロコスモスとしての地上の人間に影響を及ぼすことによって起こるとされています。この場合、想像力は天と地の間で媒介の役割を担います。こうした想像力という概念の導入によって病因論が占星術的決定論から解放されたことが一般に指摘されています。もちろん、そのとおりなのですが、これは事柄の一面しか言い