■アネモネ 1999年12月号 最新ヒーリング・ガイド　癒しの人＆癒しの技 第２回
ロビン・マーフィー独占インタビュー
お話…ロビン・マーフィーさん
取材協力…ホメオパシージャパン（株）
通訳…服部牧
構成…編集部

私たちのからだを取り巻く生体エネルギー その微細なエネルギーに 働きかけるホメオパシーは、東洋医学の鍼灸によく似ています。心とからだの問題箇所にレメディーと呼ばれる砂糖玉（＝ハリ）を うつことで、自然治癒力を刺激し、エネルギー（気）の流れを促すのです。 今回はアメリカ屈指のホメオパス、ロビン・マーフィーさんに エネルギー療法としてのホメオパシーの可能性についてお聞きしました。 一言でいうと、ホメオパシーはレメデ ィーによってオーラのツボを刺激しているようなものでしょうか？鍼灸など中国医学と比較するとどんな特徴がありますか？

<ロビン>鍼灸とホメオパシーは異なる点よりも似ている点が多いです。大きな類似点は「バイタル・フォース」という概念です。これは中国医学で「気」と呼ばれているものと同じで、ヨーロッパではバイタル・フォースと言い伝えられています。気の働きを重視する点は両者が密接に関連する部分です。 大きな違いは、ホメオパシーは植物や鉱物、金属などから気を抽出して作られてたレメディーを服用することによって、人体の気を流れさせ、経絡を開くのに対し、中医学はツボを針で刺激することによって気を流れさせて治療します。ようするに、ホメオパシーと中医学はバイタル・フォース的な健康観や人生観などが非常に似ており、気を刺激し高めるための方法が異なっているのです。

ホメオパシーでは月や太陽の光など、 あらゆる物からレメディーを作れるとのことですが、どのような方法でその作用を確かめているのでしょうか？

<ロビン>ホメオパシーの最も素晴らしい点は、薬草、植物、鉱物などの気を発見するための独自の分析法にあります。これはレメディーの効果を調査するための非常に体系的な方法で、「プルービング」と言います。 まず、ホメオパス（療法家）は被験者に植物などから抽出されたエネルギーを服用してもらい、肉体にどのように影響するのかを観察します。 「似たもの（性質）は似たもの（症状）を治す」という理論は、植物がある方法で人間のエネルギーに作用するのであれば、同じ方法で治療できるということを意味します。たとえば、Nux-vomicaの薬草は肝臓の気に影響を及ぼすことがわかったら肝疾患の人にNux-vomicaのレメディーを投与するというように…。 また、長期間にわたるプルービングを通じて、ホメオパスはレメディーが悲しみや苛立ち、怒りなどにも作用することを発見し、肉体だけではなく心理面も癒すことのできる完全な治療体系を作り上げました。ある人がレメディーを服用すると落ち込みますが、既に落ち込んでいる人が同じレメディーを服用すると、落ち込みが改善されるのです。たとえば、Nat-murというレメディーは普通の塩から作られたものですが、希釈と震盪を繰り返した塩でプルービングを実施すると、愛する人が亡くなったり、失恋した後の悲しみや落ち込みに非常に効果的であることがわかります。こうした方法は、古代から中医学で用いられていた方法と同じですが、ホメオパシーは長い間隠されてきた中医学の謎を解明したともいえるのです。そのため、ホメオパシーと中医学は双方が互いに敬意を表しています。両者は異なる方法で人間の精妙なレベルに働きかけますが、私の経験では併用するとさらに効果的です。 ホメオパシーのレメディーは、いわば気のレメディー なのです。現在３千種以上あるレメディーは、南米、アフリカ、エジプト、インド、中国など世界中から集められており、『マテリア・メディカ』には様々な国のレメディーが記されています。私たちはそれらの情報の中から「これは〜に効果的」という評判や言い伝えのあるレメディーを臨床に用いています。各国でプルービングを実施することによって、昔から一般に伝えられている滋養強壮などの効果を再確認すると同時に、新たな効果も発見できるのです。中には朝鮮人参などの漢方薬から作られたレメディ ーもあります。

マーフィーさんはホメオパシーに占星学や易を取り入れ、「生まれた曜日」も考慮されているそうですが、それはマーフィーさん独自の解釈ですか？

<ロビン>そもそも古代の伝統医学は、個々の体質を診断する独自の方法をもっていました。インド医学のアーユルヴェーダではピッタ、カパ、バーターというドーシャに分類されます。中医学は生まれた季節と誕生日、出生時間によって体質を見つけます。このように、あらゆる文化には、宇宙のリズムと関連づけて個人の体質を分類していく診断法があったのです。現代医学の最大の弱点はそうした体質の診断法がないことです。私の研究によると、古代インドやチベットで用いられていた出生曜日によって個人の健康問題を予測する方法が適切であることが分かったのです。ですから私の場合には、その体質の違いも考慮しながらレメ ディーを選んでいきます（表参照）。

なぜ希釈率が異なるレメディーを用い るのでしょうか？

<ロビン>希釈率、即ち「ポーテンシー」はホメオ パシーの中で最も優れた面です。 あるポーテンシー（一定回数の希釈と震盪を繰り返した）のレメディーを投与すると、一定期間作用は持続します。そのレメディーが作用しなくなった場合、次にさらに希釈率の高いポーテンシーを用いるとさらに長期に作用し続けることができます。　あらゆる病気、症状、心理的問題が癒されるにはある程度の時間を要しますが、このように異なるポーテンシーを続けて用いることによって治癒力を効率的に維持でき るというのが第１点です。 現代医学に見られるように、治療してから１〜２カ月過ぎた頃に病気がぶり返すことがありますが、そのような場合にも異なるポーテンシーを用います。たとえば、6Cを１〜２カ月続ける内に効果が減じたときに、より高いポーテンシーである12Ｃに変更すれば、恒久的な治癒のために治療し続 けることができます。 次に、免疫系との関連があります。 ケガや事故などの緊急時や急な発熱などは免疫反応が強まりますが、そのような場合は免疫反応を助けるために高いポーテンシーを用います。また、問題が長期に続いてきた場合には長期に刺激し続ける必要があるので低いポーテンシーを用います。このように、各々の問題に応じてポーテンシーを使い分けているのです。

アメリカでホメオパシーはどの程度認 められているのでしょうか？

<ロビン>アメリカでは、１９００年の初め、ホメオパシーは非常に大きな位置を占めていました。医師の25％はホメオパスで、ホメオパシー大学は20校以上もありました。ミシガン大学やボストン大学などの有名大学でも教えられていましたし、有名病院で用いられていました。ちなみに、アメリカで初めてレントゲンを取り入れた医大やミシガン州の女子医大はホメオパシー系でした。　しかし、1920 年から1930年にかけて、現在の化学薬品が主流になると、ホメオパシー大学への製薬会社の援助が減ってしまいま した。 現在のアメリカでは、ホメオパシーや薬草学、鍼灸などがホリスティック医学と呼ばれ再び注目を集めています。最近の調査から、多くの人々は通常の医師よりもホメオパスの元を訪れることが分かりました。驚くべきことに、50％以上もの人がホメオパシーのレメディーを試した経験があるそうです。合法的な医療としてＦＤＡ（食品医薬品局）も認可しているので、薬局や健康食品店で処方箋がなくても誰でも買えます。いまは製薬会社から全く援助されていないので大学はありませんが、それでもヨーロッパやインドと同じように、ホメオパシーは一般に受け入れられているのです。 この10年間、ホリスティック医学は至るところで見られるようになり、ハーバードやエール大学などの有名医学部の付属病院 にもホリスティック科が設置されています。 その理由は、患者本位の医師たちが予防医学を除いて、薬の過剰投与が非科学的な治 療法だと気づいてきたためです。ですから、 薬や手術に頼るこれまでの医学とホリスティック医学を統合したものが、未来の医学 だといえるでしょう。

ホメオパシーが欧米以外の国にも浸透 していくためには何が必要だと思いますか？

<ロビン>多数の臨床研究が行なわれると、ホメオ パシーは自立できるでしょう。 イギリスやフランスを始めとするヨーロッパの病院では臨床研究が行なわれてきたので、あらゆるレベルで広く受け入れられたのです。アジア地域ではほとんど知られていないでしょうが、ヨーロッパ、インド、アメリカでは既に一般に認知されています。 　これまで、ホメオパシー治療を受けた100例を調査したところ、83％が良い結果が得られたと報告されています。 古代のホリスティック医学はアジアで始まりましたが、考え方が成熟していなかったために、未だに科学に夢中になっているのかもしれません。反対にヨーロッパやアメリカの人々は長い間古代の医学を見失っていましたが、現在になって見直し、取り入れつつあります。 ホメオパシーは将来、世界中の様々な医学体系の最良の部分と統合され、万人に適した真のエネルギー医学が確立されると思います。なぜなら、ホメオパシーのレメディーは純然たるエネルギーで、免疫系を刺激することによって治癒に導く働きがあり、他の診断法と組み合わせれば、患者さんに多大な恩恵をもたらすからです。 また、ハーネマンの『オルガノン』の第１章に、「真の治療者は偏見のない観察者であらねばならない」と記されています。ですから、真の治療者は偏見をもたずに、様々な手法を用いるべきだと思います。大工と同じように、たくさんの道具が揃っていれば、適切なときに適切な道具を使うことができます。つまり、療法家がどのような手段に熟達しているのか、その手段をどのようにうまく使いこなすのか、が問題なのです。どの医学体系も利用できる有効な手段でしょう。そして、30年ほど臨床に関わってきた私が言えることは、ホメオパシーは感情、精神、肉体の全てを癒すことの できる最良の手段だということです。

日常生活でエネルギー（気）を高める 方法があれば教えてください。

<ロビン>私のこれまでの医学研究と体験から、ホメオパシーと気功が最も効果的な方法であ り、予防法だと思っています。 気功はいつでもどこでも簡単にできる方法がありますから、ぜひ実践してみてくだ さい（コラム参照）。
それ以外では菜食が勧められます。アメリカで行なわれた最近の調査で、肉や魚を食べる人よりも完全菜食の人の寿命は16.8才長いという結果が出ています。 菜食は、環境や経済に貢献すると同時に、 慈悲心を育みます。寿命を16才も延ばす薬や治療法はありませんので、我が子の成長を見守りたいのであれば、肉類、特に牛肉と豚肉を食べるべきではありません。日本人の食生活がアメリカ化するのに伴って、癌や心疾患、糖尿病などが増加していますが、アメリカではそれらの疾患の食事療法として日本食が紹介されています。悲しいことに、本来の日本食を食べていた昔の日本人は今よりも健康でした。アメリカでは死因の50％が心疾患、25％が癌ですが、こ の２つの疾患は肉食に関係しているのです。 また、一般にコーヒーや紅茶などに含まれるカフェインやあらゆる種類の刺激物は妊婦に有害です。カフェインを含む物では なく、ハーブティーが良いでしょう。 非常に敏感な人がコーヒーを飲むと、レメディーの作用も妨げられるおそれがあります。コーヒーは睡眠サイクルに影響を及ぼしますが、睡眠サイクルが乱れると老化が早まったり、副腎が弱ったりします。また、調査からコーヒーは乳腺のう胞を引き起こすことがわかっています。病院で乳腺のう胞の疑いがあると検査のためにのう胞から組織を採りますが、過去にこの検査を受けた人は乳癌を引き起こす可能性があります。そのため、コーヒーと乳癌とは間接 的に関係するといえるでしょう。 　肉類や刺激物を避け、新鮮な野菜を採ることが、気の活性化につながりますし、ホメオパシーの作用もより効果的にしてくれ るのです。

（プロフィール） ＰＲＯＦＩＬＥ ロビン・マーフィー Robin Murphy
古代英語で書かれた『マテリア・メディカ』を現代英語に翻訳・編集し、出版する。ホメオパシーに加え、独学で学んた自然療法、気功、中医学、薬草療法などを統合し、錬金術や占星術的な視点を加味しながら約30年にわたり数多くのクライアントの相談に応じている。現在、アメリカ屈指のホメオパスとして幅広く活躍中。

ホメオパシーとは？
ホメオパシーとは、Homoios(同種）とPatheia(病気）を意味する造語で、「同種療法」と呼ばれる。今から 200年前にドイツ人医師、サミュエル・ハーネマンがその生涯をかけて確立した、もう一つの医学。ハーネマンは「症状を起こさせるもの（毒）は、その症状をとりさるもの（薬）となる」という“同種の法則”を発見。人体に有害な毒性物質は、それを天文学的に希釈し、ある一定の振動を加える（震盪）ことで、もとの毒性が引き起 こす心身への症状を逆に改善する働きをもつ──ということを突き止めた。そこで、ホメ オパシーでは、心とからだの諸問題に応じて、希釈と震盪によって物質の成分が検出でき ないレベルにまで薄められた「レメディー」と呼ばれる“治療薬”を用いる。レメディーは通常砂糖玉もしくは液体の形状をとり、元物質の希釈率は最高で10の 200万乗という想像を絶するもので、その種類は現在3,000 種を超える。ポーテンシー（希釈基準）は、症状と原因に応じて使い分けられる。

「ハーネマンは、アラビア、ギリシャ、ローマ、エジプトのあらゆる古代の医学書を研究。そこから同種の法則を発見し、薬学から離れて錬金術師、特にパラケルススからエネルギー治療薬の作り方や多くの知識を学びました。パラケルススは非常に有名な逆症療法医で、手術と化学薬品の祖と考えられています。『similiar similibus curantar（ラテン語で、似たものは似たものを治すという意味）』という法則を発見した最初の人だと言われています。ホメオパシーの最もユニークな点は、レメディーがエネルギーから作られているため、あらゆる医療者や療法士が使えるところです。薬物ではないので、通常の治療と併用でき、副作用もありません。あくまで、個人の自己治癒力を活性化させるためのものなので、レメディーは最小限に投与するという原則があります。それはできる限り低いポーテンシーで免疫系を刺激する必要があるという意味で、極めて自然な療法だといえるでしょう」 （マーフィー）

ホメオパシーから見た病気の原因 人類に共通するマヤズムとは？
ホメオパシーでは、人間を５つの階層構造でとらえ、判断基準としている。
最も古くからの影響として、先祖が罹った重い病気や苦痛の経験によって傷ついたＤＮＡが子孫に引き継がれ、それがあらゆる病気・症状の引き起こされる土壌となっていると考える。この「マヤズム」と呼ばれる体質的な土壌は、現在までに
�@疥癬
�A淋病
�B梅毒
�C肺結核
�Dガン…の５つが確認されており、現代特有のマヤズムも発生している可能性がある。マヤズムは民族的、人類的カルマとも関りが深い。
そのうえに、Ｃａｌｃ-ｃａｒｂ（肥満）、Ｓｉｌｉｃａ（小さい）、Ｐｈｏｓ（長い ）、Ｓｕｌｐｈ（がっしり）といった、個人の根本的な体質の特徴があり、さらに環境や ストレスによる心身の歪みが加わって、目に見える病気・症状となって現れる。さらに、ホメオパシーでは投与された新薬や手術による影響なども加味しながら、個々人の問題を階層的かつ総合的に判断していく。

出生曜日による特徴 『マテリア・メディカ』「７惑星の体質」より
■月曜日
惑星：月　金属：銀　特質：知覚　器官：脳　組織：脊髄　減退の原因：恐怖
テーマ：直感　機能：睡眠、夢　エレメント：水　癒す方法：夢
■火曜日
惑星：火星　金属：鉄　特質：生存　器官：血液　組織：筋肉　減退の原因：怒り
テーマ：意志力　機能：防御　エレメント：火　癒す方法：太極拳　
■水曜日
惑星：水星　金属：水銀　特質：敏感性　器官：肺　組織：リンパ
減退の原因：心の不安定　テーマ：知性　機能：聞くこと、話すこと　エレメント：風
癒す方法：錬金術
■木曜日
惑星：木星　金属：スズ　特質：成長　器官：肝臓　組織：脂肪　減退の原因：貪欲さ
テーマ：安全　機能：欲求　エレメント：地、木　癒す方法：菜食
■金曜日
惑星：金星　金属：銅　特質：調和　器官：腎臓　組織：粘膜　減退の原因：欲望
テーマ：愛情　機能：セックス、社交　エレメント：水　癒す方法：レメディー
■土曜日
惑星：土星　金属：鉛　特質：エントロピー　器官：脾臓　組織：関節
減退の原因：心配　テーマ：コントロール　機能：調節　エレメント：地　
癒す方法：薬草
■日曜日
惑星：太陽　金属：金　特質：熱誠　器官：心臓　組織：血漿　減退の原因：プライド
テーマ：自我　機能：目、見ること　エレメント：火　癒す方法：瞑想

『ホメオパシー』についての問い合わせ先
ホメオパシージャパン 〒151-0063　東京都渋谷区富ケ谷1-14-12-3F
Tel.03-5352-7730 Fax.03-5352-7731
通信講座や健康相談、下記の講演以外の活動についても直接お問い合わせください。 ■一般講演会他のお知らせ 東京：３／12（日）一般講演・学校説明会 沖縄：３／20（祝） 申込み：ホメオパシージャパン（上記）まで電話予約

マーフィーさんが教えてくれた エネルギーを高めるために できる簡単な気功法
�@手足をブラブラ振り関節を曲げ、指で頭全体を叩く。
�Aその場で飛び上がり数十回程度ジャンプする。
�B肩幅程度に両足を開き、膝を少し曲げて立つ。
�Cお腹の前でボールをイメージし、そのボールを両手でもつ。
�Dイメージでゆっくりと前後左右にボールを動かし、気を感じる。