Mom〔2003・5〕女性が陥りやすいうつ病と心と体にやさしい治療法!

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■ホメオパシー療法では心と体に気づきを与え、本来の健康を取り戻す!

■うつの原因であるトラウマをゆさぶり、癒す

◎由井先生、ホメオパシー療法でうつ病は治るのですか?
「ホメオパシーは、自己治癒力を高めて病を根本から治療に導く医学です。ヨーロッパでは250年の歴史を持ち、英国王室ご用達の医学療法としても知られています。副作用がまったくないレメディーを服用することによって、心と体に気づきを起こさせ、自己治癒力が発動し、本来の健康を取り戻せるのです。ですからうつ病だけでなく、すべての病に使うことができます」

◎女性がうつ病になる心の背景には、何があるのでしょうか?
「きっかけは、環境の変化にうまく適応できなかったことでしょうが、うつになる心の背景は、歩んできた人生でそれぞれに違います。ホメオパシーでは、1時間かけて問診し、その結果うつにならざるをえなかった原因をつきとめ、治療に導くレメディーを処方します。ですから、人それぞれ原因が違うように、レメディーも違うわけです。

症例からお話しましょう。
Nさん(36歳)が33歳で出産した子どもはダウン症でした。お嬢様育ちで、人生すべてが計画通りに運んできたNさんにとって、これは受け入れがたいことでした。頭脳明晰なキャリアウーマンで、物事をなんでもテキパキとこなすという彼女の性格からすると、何度言い聞かせてもわからないダウン症のわが子はイライラの対象で、ついカッとしてなぐってしまう。なぐることは悪いことだとわかっているし、なぜ自分がこんな目に・・・と、落ち込み、引きこもりました。

まずは『アナカーディアム』というレメディーで処方しました。このレメディーは、矛盾という要素を秘めています。なぐってはいけないとわかっているのになぐってしまう矛盾。そのほか、ホルモンのみだれによるイライラから、子育てを否定する女性のレメディーや、彼女のプライドの高さを癒すレメディーも与えました。彼女はその後、こうあるべきという完璧主義な部分がやわらぎ、リラックスして子どもに接するようになりました。そして1年半後には、自分の母に子どもを預けて外出できるまでに回復したのです。子どもをなぐるなど、厳しくしつけてしまう親の場合は、自分もそのように育てられたという心の背景があります。彼女は問診の中で、自分の母を超えようと思っていたと告白しました。そこで、母親とのトラウマを解決するレメディーを与えたところ、母を許し、母に頼れるようになったのです。女性の場合、結婚や離婚、出産や死産などがうつのきっかけになることが非常に多い。特にキャリアウーマンで、外で稼いでいた女性が仕事をやめて、家事や子育てに追われるようになると、自分の価値が下がったように感じてしまうのです。また、結婚や出産に対してこうあるべきという理想をかかげていると、現実とのギャップにショックを受け、うつになります。肉親の死がきっかけになることもあります。

Eさん(40歳)は、首の大動脈が突然破裂するというめずらしい病で、17歳の息子を亡くしました。彼が倒れた現場に駆けつけましたが、クリスチャンである彼女の夫や教会の友人が既に到着していたために息子にすがって取り乱すことができず、彼は天に召されたと静かに受け止めるしかなかったそうです。さらに牧師が、子どもの死をいさぎよく受け入れたことをほめたたえ、会報誌の載せたために、彼女は悲しみを誰にも相談できず、心の奥底にしまい込みました。結局息子の死から5年間、彼の影を追う日々がつづき、不眠、倦怠感、心臓の動悸などに悩まされ、家に引きこもってしまいました。彼女には、すべてが崩れ落ち、生きる価値がないと感じたり、秘めた悲しみの要素をもつ『シークラメン』というレメディーを与えました。すると、ため込んだ悲しみを外へ表現できるようになり同時に体も楽になっていきました」

■うつ病にともなう体の症状も心が癒えると治ってしまう

◎うつ以外の症状がともなう場合も多いと聞きますが・・・。
「心がショックを受けるわけですから、体にもいろいろな症状が現われて当然です。Sさん(38歳)は、8年間連れ添った夫に、ほかに女性ができたからと離婚をせがまれ、自分が止められるものではないからと、あっさり離婚したそうです。しかしある日突然、彼女の目前から色が消えてしまった。彼女の瞳に映るのは、白と黒しかないグレーの世界です。色を失ったと同時に、心は闇に落ち込みました。私は、彼女のキチキチッとした性格や、自己卑下してすぐにあきらめてしまう面から、『アーセニカム』というレメディーを処方しました。このレメディーは、白と黒という要素も秘めています。彼女の瞳には徐々に色が戻っていきました。グレーがアンバーになり、少しずつ色づく世界を見ながら、春が来たようだと言いました。同時に、心の底では夫との離婚を受け入れていなかった自分に気づき、立ちなおっていきました。

子宮内膜症とうつというケースもあります。
10年前からのたうちまわるほどの生理痛に悩まされ、子宮内膜症と診断されて痛み止めを手放せないことが、Yさん(33歳)の主訴でした。問診が進むうち、彼女に男性経験のことを聞くと、経験は一度もなく、男性なんて汚くて大嫌いだというのです。いっぽうで、満員電車で周りに男性がいるだけで激しい嫌悪感に襲われる自分は普通ではないとわかっていることが落ち込みの原因でした。ホメオパシーでは、心のトラウマのひもを解くために、生まれてから現在までの出来事や嗜好に至るまでいろいろな質問をします。話を聞くうちに、彼女のお母さんが、性に関するすべてを汚いものだと全面否定し、その考えを押しつけていたことがわかりました。にもかかわらず、10年前のある日、その母と父が仲むつまじくいっしょの布団で寝ているところを目撃してしまった・・・。その日以来、子宮がひきつり、極度の痛みに襲われるようになったのです。
彼女には、衝撃的な映像を見て以来、具合が悪くなったという要素を秘めた『センチュリアス』というレメディーを出しました。彼女の生理痛は画期的に消え、内膜症も治りました。そして電車で隣に男性がきても、嫌ではなくなった自分が嬉しいと感激していました。以前は男性に言い寄られても、侮辱されているとしか思えなかったが、今では彼氏が欲しいと思うようになったそうです」

◎レメディーを服用すると、どうしてうつやそのほかの症状が治るのでしょうか?
「ホメオパシーは同種療法と言って、うつの症状にはうつのレメディーを与えます。高熱のときに、布団をかぶってさらに熱くし、汗をかいて熱を下げようとするでしょう? それと同じです。イライラにはイライラのレメディー、悲しみには悲しみのレメディーを服用することによって、もっともっと病を深く掘り下げてゆく。すると心と体はこのままでは死んでしまうという危機感を感じて自己治癒力を発動します。そして、自分の病の原因に自分で気づくわけです。  誰が治してくれるわけでなく、レメディーはみずからが病を治すきっかけをあたえてくれるのです」 今回のお話から、現代医薬に頼ることなく、自分の心や体を健康に導く療法があることがわかりました。一人で悩まず、専門家に相談することが大事ですね。