たま 〔1996・10〕  中森じゅあんのときめき対談 天使に会いたい! 

■中森じゅあんのときめき対談 天使に会いたい! 第五回 ゲスト 由井寅子

由井寅子さんは、最近、医学界でもますます関心が高まっている自然療法・ホメオパシーを、 本家本元のイギリスで習得し、治療活動を行っています。ロンドンのお友達から紹介されて出会い、意気投合したじゅあんさんとの対談が、由井さんの来日中に急遽実現しました。多くの苦労を重ねられたという過去のお話がまるでうそのように、今の由井さんは元気いっぱい、すっきりと輝いていらっしゃいます。
無限の可能性を秘めたホメオパシーとはいかに?

中森:先生がテレビのお仕事をされたあたりからお話伺えますか。
由井:私は映像の世界に長い間おりまして。最初は映画界、次にテレビ界に入った
    んです。ドラマやドキュメンタリーの製作などをやってました。
中森:どんな職種ですか?
由井:日本にいた時は、ディレクターのそばにいるスプリクターです。30歳近くになっ
    てもまだ ディレクターになれないので、プロデューサーに掛け合った。
    でも「まだ東大卒の男性がこんなに待ってる時代なんだ、女の君にはまわっ
    てこないよ 」と言われ、結局辞めてしまったんです。その時代は女性は男性
    のサポート役でしかなく、二番手でクリエイティブな仕事はなかなかもらえま
    せんでした。 それで、イギリスには女性ディレクターもたくさんいるというので
    言ってみようということになりまして。でも、英語がしゃべれないと話にならな
    いわけで、英語学校に通い始めた。そのうち日本のあるテレビ局のロンドン
    支局から外報部の仕事をやらないか、と言われ、そこに行ったんです。外報
    部ですからジャーナリズムですね。取材でいろんな問題に出会うんです。
    飢餓、災害、殺人……それで、すごくいやだったのね。家族を失い、嘆き悲し
    んでいる人に、「恐れ入りますが、今のお気持ちを一言」みたいに聞くのが。
    かなり抵抗はしたんです。人の心を踏みにじっても許される様な報道の自由
    なんてあるわけがない、ただの野次馬根性を満足させるために報道の自由
    があるのかって……。 でも「インタビューが無いとインパクトのある報道にな
    らない。それにたとえ君が逃げても結局他の人がインタビューすることになる
    んだよ。だったらそうやって人の痛みがわかる君がインタビューしたほうが余
    程いいじゃないか」と言われ、結局続けることになったんです。でもインタビュ
    ーすることは克服したけど、報道するほどの現場って、やはりある種の極限状
    態なんです。インタビューしていて、もうどうしようもないほどの感情の大きな
    波に揺さぶられるのだけど、報道するものは決して泣いたり自分の生の感情
    を表に出してはいけないのね。時に思いっきり一緒に泣いたり相手を抱きしめ
    てあげたいと思っても、決して許されないことなんです。 でもそれは体には本
    当に良くないことなのね。泣きたいときに泣けない、怒りたいときに怒れない、
    そうしているうちに潰瘍性大腸炎になったんですよ。33才のときでした。いろ
    んな治療をやったんですが治らない。だから腸を切ってつなげる手術をしよう
    か、ステロイドを投与しようか、という状態。潰瘍性大腸炎というのは癌の一
    歩手前なんです。そんな病気が33才で出てくるというのは、これはもう完全
    にすごいストレスの下で動いているということの証明ね。それまでは「私は出
    世しなくちゃいけない、仕事やらなくちゃいけない、責任を果たさなければいけ
    ないからおまえは出てくるな!」って病気を無理に抑えてたんですね。それ
    が、ジャーナリズムの仕事を通じて「自分はなんでここにいるのか。人間はな
    ぜ死ぬ
のか。この人が死に、この人が生きるというのは神様はどういう選択を
    しているのか」 そういうことを考え始めたらウワーッと病気が出てきた。
    待ってましたとばかりに吹き出した。体について考える時期を精神が待ってい
    たみたいに。それでいろいろ考えるわけです。体というものはどういうものな
    のか、と。それまでは馬鹿にしてたんですよ、体を。 体が痛い時も「なんでこ
    ういう低能な体が痛い、とかそういうことを私に要求するんだ」と思 ってたくら
    い。
中森:生意気だゾって?(笑)。体の中にちゃんといなかったんですね。
由井:うん、体より精神のほうが上だ、と。でもそれは大きな間違いだったのね。
    卵は黄身があり、白身があり、殻があって……心と体と魂、どれもがきっちり
    入ってないとだめ。私の場合卵の黄身が抜けてたの。 それで、なんとか手術
    しないでやってみようと思って、民間療法だの漢方だのやって、ある程度治ま
    ったのかな。でもまだ血が出たり止まったりで治らなかった。
    私、そのときホメオパシーという言葉を知らなかったんです。でも、ある日夢を
    見て、目が覚めたとき「副作用が一切なくて、ナチュラルな素材で、人の自然
    治癒力に働きかけるものがある 」ということを夢で教えてもらったという感じが
    した。それで会う人ごとに「そういうの、ない?」ってきいていたら、ある友達が
    「あ、それってホメオパシーのこと?」って。「ホメオパシーって何?」「寅子は
    知らないの?」「うん、知らないけど、夢でそういうものがあると言われたんで、
    とにかくそれを知らなくちゃいけないみたいだから」って。そしたら彼女のお友
    達のお姉さんがそれを今勉強している、っていうの。なにか、まるで導かれる
    ようにホメオパシーに入ったわけです。それで会わせてもらうことになった。
    その人からホメオパスについていろいろ教えていただいて、彼女の先生に治
    療してもらうことになった。先生のところに行ったら「悲しいとき人前で泣ける?
     」とか「自殺するとしたらどういう方法でやる?飛び降り?ナイフ?それとも
    ピストル?」「あなたは精神的にも物事をキチキチしなくちゃいけないの」とか、
    いろいろ聞いてくるわけ、一時間も!
    「そんなこと病気となんの関係があるの。そんなことより早く私の病気治して
    よ」と内心思っていたけど……。 そしてもらったのがヒ素と癌細胞のレメディ。
    それを飲んで一ヶ月後にはもう出血は止まってしまってね。何をやっても治ら
    ずこんなに長い間苦しんだ潰瘍性大腸炎が、2種類のレメディでたった1週間
    で治ってしまって、ビックリ。「うわ、素晴らしい!」と思って。勉強したい、って
    言ったら「ここ行け、あそこに行け」と教えていただいて、勉強が始まった。
中森:そういう学校っていうのは、どのくらいあるんですか?
由井:ロンドンにはいっぱいあります。ほら、西洋の漢方みたいなものですからね。
中森:日本ではホリスティック医学協会も一般的に広まってきましたし、先生とお目
    にかかれたのも自己治癒力を考える会でしたが、加速度的に目覚める人が
    出てきますね。
由井:今、すごい勢いで宇宙エネルギーが出てるのを感じるんです。やはり転換に
    近づいているんでしょうね。一度ゼロになってまた始まる。だからすごい勢い
    で宇宙が「わかってくれよ」と波動を出してる。
中森:ビッグチャンスですよね、今。
由井:受け皿がある人はどんどん受けられるわけね。
中森:そういう意味でも、先生はホメオパシーを通して、これからものすごくお忙しく
    なると思うんですよ。そこで、一般の方に対してホメオパシーというのをもうち
    ょっと詳しく説明していただけますか。
由井:ホメオパシーは同種療法と訳されますが、基本の考えは昔からの民間療法と
    よく似ています。風邪をひいたときに葱を巻いて鼻水を止めたり目がシバシバ
    するのを止めるんです。健康なときは、葱は鼻水を出させ目をシバシバさせる
    作用をしますね。この「類で類を治す」という考え方は、ある程度分かり易いと
    思いますが、ホメオパシーの一番の特徴としては、レメディ(薬)の原料を想像
    もつかないほど希釈することにあります。たとえば私に与えられたヒ素は猛毒
    で有名ですね。それを薄めるのですがその薄め方というのが半端じゃなくて、
    ほとんど無限ともいえるくらい薄めるんです。私の場合、10Mという希釈度で
    したが、これは100倍希釈を 1万回繰り返すんです。
中森:エー! 100倍希釈を 1万回!?
    一体どのくらいの薄さになるのか見当もつかないですね。
由井:10の2万乗倍希釈という、超絶的な薄め方なんです。
中森:そんなに薄めたら、もう毒なんて何も残ってなくて、ただの水になってしまうの
    ではないですか。
由井:毒性がまったくないという意味ではその通りなんです。ちょっと専門的になりま
    すが、高校の時、化学で1モルという基本単位を勉強しましたね。1モルの溶
    液には10の24乗個の溶質の分子が入っているわけですが、この溶液を10
    の24乗倍に薄めると、その溶液には溶質の分子は平均1個しかないことにな
    ります。これはヒ素の場合、致死量の千兆の1万倍分の1しかないわけで、こ
    れは毒性については普通の水以上に立派な水(笑)ですね。10の30乗倍とい
    うことは、それをさらに百万倍に薄めるんです。
中森:………。
由井:だから当然ながら毒性はまったくない……。
中森:毒性が全く無いということはもうわかり過ぎるくらい(笑)、よくわかりました。
    でも、そうすると毒も無い代わりに薬としての効果も無くなってしまうのではな
    いですか。
由井:当然そう思いますよね。でも信じられないことに実はその逆なんです。
中森:ということは薄めれば薄めるほどレメディとしての効果が高くなるということで
    すか。
由井:そうなんです。何か神秘的というか……。マアあなた、そんなに急に、忙しく眉
    に唾を付けなくても(笑)。
    でもこれはね、妙に神秘的な考え方とか怪しげな迷信的なものからきたので
    はなくて、ちゃんとして経験的事実、臨床的実証からきたんです。
    どうしてそんな不思議な現象が起こるのかなかなか分からなかったのですが
    最近の量子物理学の目覚しい進歩で、やっとそのメカニズムが少しわかりか
    けてきました。原子の世界という極めて微小な世界では、私たちの普通の世
    界では思いもつかない様な事がいっぱい起きています。私たちの世界では、
    粒は粒、波は波で、全く別の物ですね。粒であれば波ではないし、波であれ
    ば粒ではない。でも、原子の世界って粒子であると同じに波動でもあるという
    本当に不思議な世界なのね。これは原子物理学では初歩の初歩なんだけど
    やっぱり不思議は不思議ね。 だから薄める過程において粒子と言う相では、
    たとえば100cc当たりの粒子の数は、どんどん少なくなって毒性は薄まってい
    くのだけど、波動という相では希釈しても弱くなるとは限らないのよ。薄める倍
    率によって弱くなったり強くなったりするの。ホメオパシーはこの波動的に働き
    かけるということを昔から説いていましたが、そのため一部の人たちからは、
    まるでいんちきな魔法使いのように扱われてきたの。でもやっと科学が少しず
    つホメオパシーに追いついてきたかのかな、という感じ。ナーンチャッテ(笑)。
    ……それはともかく副作用がありません。だから、赤ちゃんや妊婦さんなど、
    薬飲めない方、いますね。そういう方にうってつけです。
    効果の波動が、その人の波動が停止してしまっているところに作用するんで
    すよ。
中森:それで、効果の方はどうなんでしょうね。ゆるやかなのですか?
由井:そんなことないです。たとえば指を切って血がたらたらでてる時、アーニカ(ウ
    サギ菊)を飲ませるとピタリと止まります。しかも、どこに働きかけるかは、レメ
    ディが決める。怪我があっても、どこかに酷い問題があった場合はレメディは
    そっちに行く場合もある。なぜならば、気の流れに作用するからなんです。
    気が詰まってるところに行くんです。
中森:それはすごいですね。それももともとが天然の動植物、鉱物からレメディを作
    っている。その中には病原菌も入ってるんですよね。私、ホメオパシーのお話
    を聞いて、動植物鉱物くらいは納得したんですが、蛇とか、トリカブトとか、ヒ
    素とか……それにゴキブリに至っては驚きました。
由井:そうゴキブリね。それから猫の蚤とかね。
中森:一足先に日本ではアロマテラピーやハーブが、盛んになってきてるでしょ。
    ああいうものと同じ路線でもっと専門的ということですか?
由井:アロマテラピーも本来は治療法だと思いますが、日本では薬事法の問題があ
    るにしてもリラックスさせたり気持ちよくさせるのが主な目的となっているよう
    ですね。それにアロマの精油は使い方によっては危険性もあります。
    ホメオパシーの場合、感情・心のレメディがある。感情や心は目に見えない
    波動です。だから波動体であるレメディがうってつけなんです。これが病んで
    苦しんでいるときは体の病気は治っていきません。したがって受けたショック
    を取ってやることです。例えば「今日、私のお父さんが亡くなったんです」とい
    う人には、悲観、死別のレメディをあげるんです。
中森:肉体のショックはもちろんでしょうが、感情的なものに対してもレメディが効くの
    ですね。
由井:自然治癒力に働きかけるんですね。人間っていうのは、ボディ・マインド・スピ
    リットの卵だから、どれか傷ついているところに働きかける。 だから死別したり
    失恋したりした場合はイグネシア・ビーンズから取ったレメディをあげる。
中森:なぜその豆が悲しみというものに効くのでしょうか?
由井:この豆は色がインディゴ・ブルーなんです。ブルーというのは英語で非常に落
    ち込んでいる状態をいうんですね。
    もう一つ、長い間の深い悲しみにはNat-mur という岩塩を使います。
中森:塩ですか。
由井:塩は水を吸収しますね。長年に渡って悲しみを体に湛えている人は、体にいっ
    ぱい水(涙)を溜めているため、このレメディをあげると2日間くらい泣き通しま
    す。そして水分を出し尽くし、空にして、傷ついたり苦しんだりしたところを流し
    てしまうんです。
中森:その同種療法の考え方ってとても面白いですよね。例えば実際はすごく大き
    いのにいじけたみたいに小さくなっちゃう杉のお話を聞きましたが。
由井:苔杉ね。苔杉は進化の過程で10メートル以上もあった杉が10センチくらいの
    苔杉に変化してしまったのです。したがって自分に自信がなく、周りから駄目
    だといわれ、しょげかえっている人に 使うんです。
中森:そう、それを自信がない人の治療に使う、とか、その考え方がスゴイ。
    それは色や性質やさまざまな視点から同種を見出すわけですね。
由井:うん、それから形ね。信じられないかもしれないけど、形は形としての波動を出
    しているからその形に近い内臓に働いたりします。例えば腎臓と相性の良い
    レメディにバーバリスーブイというベリーがありますが、そのハッパの形が腎臓
    にそっくりなの。
中森:ゴキブリは何に効くんですか?
由井:ゴキブリには二つのことがあるんです。一つは喘息症状ね。ゴキブリって埃が
    あるところが好きでしょ。喘息を起こすのも埃とか、そういう空気の悪い所で
    起こりますからね。もう一つは時差ぼけね。ゴキブリは世界中にいて、すべて
    昼眠って夜に活動的になるでしょ。だから時差ぼけに使うんです。まあ、本当
    は、ゴキブリをレメディにして、そのレメディがどんな肉体的、精神的症状を持
    っているか実際に調査した結果なんですけど。そうしたら、喘息や時差ボケの
    ような症状が出てくるわけね。
中森:そういうことを最初に発見した人、スゴイですね。
由井:2千年前から、もうヒポクラテスの時代から、同種療法はありましたからね。
中森:神様っていうのは本当に人間のあらゆるものに対応するものを自然の中に作
    ってくれているんですねえ。感情にも体にも、良い物をちゃんと。
由井:だからね、第六感のモードをブワーッと広げていくと、どれを探ったらいいかわ
    かるわけ。犬や猫は下痢したりすると、なんかの葉っぱを食べてそれを毛玉と
    一緒に出してるでしょ。彼らには第六感のモードがあるから知ってる。
中森:これからは家庭に、越中富山の薬箱みたいに、普通の人が自分でホメオパス
    のレメディを投与できるようになれば、というのが先生の夢でしたね。
由井:ええ。ホメオパシーの本来の治療は根本から直していくことですが、現在すで
    に対症療法的に新薬がどんどん使われています。熱が出た、胃が痛い、体に
    いろいろ症状がでているとき、とりあえずその症状を止めて楽になりたいとい
    うのは当然のことです。しかしケミカル(化学的)な新薬は、化学的に作用させ
    ているので、もの凄く複雑な身体にとって、そのような化学物質による危険性
    は、常につきまう問題だと思います。とくに子供、妊婦さんには何としてもでき
    るだけケミカルな化学物質を取らないようにしていくことが大切だと思います。
    それに対してホメオパシーのレメディは危険が著しく少ないだけでなく、非常
    に有効です。これで下痢だとか便秘だとか風邪だとか……日常遭遇する多く
    の症状に対処していくことができます。自分が家族の治療者だと思って投与
    してあげるのが一番いいと思ってます。そのために私はこれから通信教育を
    やりたいと考えています。レメディにどういう効用があって、どういう時に飲ま
    せるのかということを、こんこんとやっていきたいと思ってます。

(下欄外)
じゅあんさんとの出会いは、私が長い間忘れていた日本のすさまじく暑い夏の日でした。部屋の外は青々とした木々で一杯なのに、そこにたった一つ桃の実がなっていて何か不思議なところに来てしまった感じがしました。 そして彼女に会うとすぐ何か一気に吹き出るように話が進んでしまい、まるで遥かの昔から彼女と私は同じ志を戴く同士であったような気がしました。彼女の大きな目は真理を見通す透徹した目のようにも見え、また限りなく情け深い目のようでもありました。大きな慈愛に満ちたその目が満月のように瞠られるたび、じゅあんさん、優しい貴方は一体何度大粒の滴を流したことでしょう。 貴方を必要とする人々に愛情を粲々と分け与え、それでもまだ汲み尽くせない深い愛を持つ貴方、そんな貴方とこんな素晴らしい出会いをもたらしてくれたホメオパシーに改めて感謝します。

(下囲み)
ときめきタイムを、ありがとう!中森じゅあん
幸いにも生まれついて「健康がとりえ」で長年やってきた私なので、身体や医療に関しては、ほとんど無知に等しい。 それでも数10年に渡る身体の酷使と寄る年波の結果、生まれて初めて昨年の10月、仕事場で倒れて救急車に乗るという体験を余儀なくされた。それからというもの、まるでどこかで誰かが見ていたように、もっと身体に目を向けて、と言わんばかりに、身体に関するさまざまな情報やすばらしい治療関係者との出会いが始まったのである。そのお一人が寅子先生である。