女性セブン 〔2001・11〕 「ホメオパシー」が呼び覚ます脅威の自己治癒力!  [  

アトピー、生理不順、更年期障害、肩こり、便秘、花粉症から失恋まで癒すと大評判

花粉症などの慢性病から打ち身、捻挫まで治すという、「ホメオパシー」なるものをご存知だろうか。聞きなれないこの言葉、実はイギリス王室御用達、200年以上の伝統がある医療で、副作用もほとんどないことから「神秘」の医療法と呼ばれているものなのだ。

「原因不明のめまいがひどく、本当につらい思いをしていましたが、のみ始めてから確実によくなっています」(41才・主婦)

「子供のころから20年来悩まされてきたアトピーがよくなりました。こんなに早く結果が出るなんて! 日本でももっと広まってほしい」(31才・OL)

こんなうれしい響きの声が次々に寄せられているのが、「ホメオパシー」という治療法。あまり耳慣れない言葉だが、ヨーロッパの伝統的な自然療法だ。   日本ホメオパシー医学協会会長の由井寅子さんは、「ホメオパシーは『同種療法』または『類似療法』と訳され、『同種の法則』と『超微量の法則』のふたつを根本原理としています」 と説明する。「同種の法則」とは、「健康な人に投与して、ある症状を起こす物質はその症状を取り去ることができる」という原理で、一方の「超微量の法則」は「症状を起こす物質を非常に薄めて投与すると、効果が増す」という原理だそうだ。 「例えば慢性の下痢の場合、ホメオパシーの見方では、体がその症状に鈍感になって、悪いと気づいていないという証なんです。現代医学、つまりアロパシー(対症療法)では症状を押さえ込む薬を投与しますが、ホメオパシーは逆で、下痢を起こさせるもの、例えば砒素を使います。砒素はそのまま飲むと死んでしまう猛毒ですが、これを原物質が分からなくなるほど薄く希釈して作った砂糖玉(レメディー)にして患者さんに飲んでもらう。すると患者さんの体は"これは大変、治さなきゃ"と気がつくんです」(由井さん)

つまり、極めて薄くした毒を体に入れることで、人間の中にもともと備わっている自己治癒力、抵抗力を呼び覚ます。そのスイッチの役割を果たすのがホメオパシーというわけだ。

どれだけ薄めるかというと、例えばイギリスのレメディーのポーテンシー(希釈撹拌の程度を表す言葉)は6Cから12C。30Cとは100倍希釈を30回行ったことを意味するから、つまり10の60乗倍(0が60個続く天文学的な数字)に薄めるというわけ。例えていえば、「銀河系に涙の一滴が溶けた状態」(由井さん)というから、まさに神秘! そして、薄くなればなるほど、レメディーは肉体から感情へと作用するというから不思議だ。

当然、実験をしても純金やクモの原物質なんて検出されないから、科学的にその効果は解明されてはいない。だがその治癒実績ゆえに、ヨーロッパを中心に広く普及しているのだ。 フランスでは市販薬で定着  そもそもホメオパシーは1800年代にドイツの医師、ハーネマンが提唱したもの。そこからフランス、イギリスなどヨーロッパに広まり、南米やインド、東南アジアなどへも普及。

「ここまで遅れているのは日本ぐらい」(由井さん)という状況だそうだ。

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イギリスには国内に5ヶ所の国営のホメオパシー病院があり、英国ホメオパシーカレッジも全国に28校。ホメオパシー治療を行うホメオパスは国家資格となっていて、現在約4000人のホメオパスがいる。医師の紹介があれば、治療には保険(全額)も適用される。 ちなみに前出・由井さんは日本でただ1人の英国認定のホメオパスだ。 「チャールズ皇太子、エリザベス女王をはじめ、ホメオパシーはロイヤルファミリー御用達。とくにエリザベス女王は、側近にホメオパスを抱えているほどです。また、チャールズ皇太子は自分の馬や犬にもレメディーを与えているらしいですね」(由井さん)

ホメオパシー治療に使われるレメディーの素材は、鉱物、植物、動物の3グループに大別され、現在約3000を超える種類がある。なかにはアレルギー物質や特定の病原体からつくられるものもあるそうだ。  インフルエンザなどの急性疾患から捻挫や打撲などの外傷、アレルギー性鼻炎やアトピー、糖尿病などの慢性疾患、さらには精神の問題まで、その治療領域は驚くほど広い。しかも、"副作用"もないという。

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また、人気漫画家の桜沢エリカさんは、昨年3月に長男・美龍くんを自宅で出産し、その体験を『贅沢なお産』(飛鳥新社)にまとめたが、その中で出産の際にホメオパシーを使用したと書いている。 「最初に現物に出合ったのは5年程前で、夫の花粉症がひどかったので、青山にある『ニールズヤード・レメディーズ』で購入しました。見事にピタッと止まって、夫も"これはスゴイ!"と(笑い)。本格的に処方てもらうようになったのは出産直前で、現代医学の普通の薬を飲みたくなかったから。たまたま助産婦さんが詳しいかたで、由井先生を紹介していただきました。とくに子供はよく効くみたいで、生まれて以来、普通の薬は1回も使っていません。なにしろ火傷でも捻挫でも瞬時に効きますからね」

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そしてもうひとつ注意が必要なのは、ホメオパシーが効き始めると、一時地に症状が悪化する場合があること。とくに慢性的な症状では生じやすいようだ。 「すぐヒットするときは、かなりすごいですね。私の場合は1日起きられなかったり。だから新しい薬をいただくときは、なるべく仕事のないときを狙ってのみます。でも、本当に体質が変わってきたというか、調子がいいですよ」(桜沢さん)

人間の内なる自然治癒力によって、体の病気も心の問題も治してくれるというホメオパシー。その神秘的な力は、ますます注目されそうだ。