ホメオパシーの手引き⑬放射能より


1. はじめに

チェルノブイリ以来、放射能の話題は誰もが対処せねばならないこととして非常に重大になった。 チェルノブイリ原発の事故は、そのことについて勉強した人としない人に分け隔てなく、我々すべてが避けられない放射能の負荷に対して備えることの機会となった。
1896年のウィルヘルム・コンラッド・レントゲンによるエックス線の発見は人類の歴史に新たな一章を刻むことになった。これが電離線との意識的な初めての出会いだったのだ。間もなく放射性物質が発見され、その性質が単離され、全く新しい世界が人類の目の前に拓けたのである。小宇宙はもはや神秘主義の領域ではなくなった。打って変わって科学の領域となったのである。研究所での最初の実験はこの未知の世界に対する高い見識をもたらした。人類は宇宙の基礎的要素を発見する途上にあったのだ。大宇宙から小宇宙へ、目に見えるものから見えないものへと。
徐々に小世界の驚異的な動力が明らかになり、このことが多くの人の心を重大な恐れでいっぱいにした。
これらの新発見による動力を向こう見ずに操作すれば大宇宙の壊滅を導くことは免れない。このことは神秘主義において昔から知られている事実である。だからこそ小宇宙についての教授ははるか昔から少数の者のみに与えられたのである。この古代の知識を封印してきた門は今や開かれ始めたのだ。
イエス・キリストやその他の偉大な人物が神の愛を教えた時代、それぞれが今日このようになり賠償を請求するようになるとは誰も予見できなかった。今の人類の課題はこのような動力の巧みな扱いを学ぶことである。我々は科学技術においてある程度まで大宇宙を支配することに成功を収めたが、我々が対峙せねばなるまい驚異的な破壊力である小宇宙を同様に上手く制御できたことはなかった。これを巧みに制御することは愛を通じてのみ可能なのである。
放射能と救世主自身を繋ぐものとは何か?偉大な人物の神託を人間が理解できないことは、我々を戦争と滅亡に導くだけなのである。戦争および破壊は今や戦慄するほどの程度にまで発達している。
イエスらは愛の光を人類に届けようとしたのである。愛とは愛情を込めた形の言動のみを指すのではない。愛とは内面的に自分を受け入れ、他者をありのままに受け入れ、彼らの必要に応じた成長を許す能力である。これはまた自分の意見や信念を他者に押し付けず、各人の個性を認め尊重し、かつ運命論的にならないことをも意味する。
これには大変偏見のない態度が必要であり、我々をお手上げにする全ての物を吟味し疑問視しなくてはならない。このプロセスを通じて我々は自分の内核のどんどんより近い方へと導かれるであろう。これは、我々を常に導いているはずである内なる自己を解き明かすことにつながる。
内なる自己とは愛の化身である。
内なる自己は善悪の区別をせず、ただ個々のケースにおいてしかるべきことを識別するのみである。この適切さを体験するためには、自分のハート(心臓・胸・中心・愛情)と接触している必要がある。なぜならハートが内なる自己の核心だからである。
人類は今日自然の独創的なブロックに対して見抜く力を幾分手に入れたが、これは賢人や神秘主義者がするようにハートで体験されねばならない。
必要な成熟性や解放性を伴わなければ、この知識は我々が破壊の玩具を手にしたと同じことになる。その道はハートを通り、愛から来るもののみ存在しうる。放射線現象を全ての人が頭であるいは科学的に理解できているわけでないとしても、放射能の本質を感情的に体験するという能力は全ての人が持ち合わせている。この目的を達するために、精神あるいは魂のレベルでの練習を少し提供する。我々は自らの情緒面でそれを認知し真摯に受け止めなくてはならない。つまり、否定するのでなければ大げさに取るのでもなく。
「放射能=radioactivity」という言葉を語源的に調べれば放射能の本質が明らかになるだろう。「放射状のもの=radius」はギリシャ語で「中心から放射状に広がる」ことを表す。これは中心(ハート)から放射状に拡がる活量=activityを表している。言い換えれば、内なる自己との接触が確立されつつある。もし前向きな考え方で放射能に対処すれば内なる自己と波長を合わせることに到達できるだろう。

2.1〜2.5 省略

2.6.放射性元素がヒトと動物に及ぼす影響

ヨウ素 131
ベータ線およびガンマ線。 これらは甲状腺に蓄積される。特に子供はこの腺が破壊される可能性があり、数十年も経てからでさえ癌を引き起こしかねない。これらは精神および肉体の成長に歯止めをかけ、精神不安定を引き起こす場合もあり、攻撃性と鬱の間を行き来することでそれが表現される。子供たちがさらに危険にさらされているのは、彼らの主食の一つであるミルク・乳にはヨウ素やプルトニウムやストロンチウムが高い割合で含まれているからである。

胎児は妊娠三カ月までは、毒物に対する自然のバリアが母体から与えられているが、それ以降は胎児の甲状腺は母親の30倍以上の影響を受ける。

ヨウ素 129
このヨウ素同位体は 核分裂の産物で あり、原子核エネルギーにおける決定的役割を果たす。この半減期は長期であるために環境に充満することになり、強い影響力で甲状腺を破壊する。

テルル 132
テルル132 が崩壊する時、ヨウ素 132 が形成され、こちらは 2.3時間 (半減期)内に崩壊する。これはチェルノブイリの放射性雲においては最も半減期が短く、かつ最も高濃度の放射性核種であった。

プルトニウム 129
Pu 129:これはプルトニウムのことであり、プルトニウム同位体の大部分を占めるものである。これは核分裂の副産物で、その過程でアルファ粒子を放出する間、24,100 年の半減期で崩壊する。地上で行われた420回の核実験がこの毒性の強い元素が世界中に拡散することの一因となった。しかし、チェルノブイリから来た雲の中にはプルトニウムはほんの少量しか存在しなかった。これは非常に小さな粒子の形で吸入されて肺やリンパ腺に定着する。これは血液循環を通じて骨(生物学的半減期100 年)や、肝臓(生物学的半減期40 年)に入り込む。

ストロンチウム 90
ベータ線およびガンマ線。カルシウム類似体である。つまり、カルシウムに似た振る舞いをする。哺乳類の有機組織体はストロンチウムとカルシウムが区別できない。ストロンチウムはカルシウム同様、拾われて骨に組み込まれる。一旦骨になると血球の製造所である赤色骨髄を破壊する。また肺や腸にも組み込まれる。白血球がストロンチウム 90の放射能を浴びると、分裂の抑制がきかなくなる。カルシウムはミルク・乳汁の重要部分である。授乳中の女性が、放射線に曝されてストロンチウムで汚染されたミルク・乳汁や野菜を摂取すると、自分自身の母乳に、カルシウムの代わりにストロンチウムの分子が含まれるようになる。
危険:
白血病、骨粗鬆症、骨肉腫、特に子供の。赤ん坊や幼児は成長が急速であるために殊に危険が大きい。次の原則が適用できる。細胞の成長が速ければ速いほど、細胞が放射能と高周波の電磁放射線によって傷つく影響を受け易くなる。放射能の影響は、胎児では成人と比べ32倍も強くなる。
過去の数え切れないほどの原爆実験のせいで、我々全員がその体内にストロンチウムを有している。1957〜58年に生まれた人は非常に強い影響を受けている。その頃地上における原爆実験が多数行われたことが80年代に入ってからようやく公表されたのである。

セシウム 137
ベータ線およびガンマ線。 セシウムはカリ(炭酸カリウム= Kali carbonicum)と非常によく似ている。植物はこれを喜んで取り込むので、長い目で見ればそれが我々の組織に微量取り込まれよう。セシウムは筋肉や肝臓や脾臓に蓄積する。それは反応時間の中で減衰しつつ、筋肉やコラーゲン(膠原質)の収縮を招くゆえ、ひいては水腫や早期老化を招き、神経を覆うミエリンを崩壊させる。半減期(30年)が長いせいで、この悪影響は300 年後にしか消失しない。

プルトニウム 103 および106:
肺に集積する。

ルテニウム 103 および 106も肺に集積する。これは鉄に似ているため身体はこれを鉄の代わりとしてたやすく吸収する。

2.7 体への放射線の程度に影響を与える要素

ヒトと動物への放射線の程度は次のような物理学的/生物学的要素によって左右される。
1) 受けた線量 (単位グレイで測定したエネルギー線量)
2) 放射線の性質 (特に破壊的なのは中性子とアルファ粒子)。
3) 一定時間内で受けた放射線量の分配
放射能ダメージの程度は、短時間にせよ累積的にせよ、生体が放射線に曝されたことによって決まる。何よりも吸収された放射の総量が問題である。しかしもし放射線が長時間かけて拡散したのであれば、細胞の多くが回復したり、新しい細胞に置き変わったりするチャンスさえある。
4) 体内の放射線の分布
器官や組織を冒している放射線量が高いほど、損傷を受けた細胞の比率は高くなる。線量が同じであると仮定した場合。
5) 放射線のタイミング
放射線による最も酷い細胞損傷は細胞分裂の間に起こる。だから細胞の複製のスピードが速ければ速い程抵抗力は低くなる。例えば造血器官(赤色骨髄やリンパ組織)、胃の粘膜、小腸、皮膚、生殖腺、胚細胞、子供や若者の成長軟骨板など。
全身が放射線を浴びた場合、特に体全体の機能にとってそれほど重要ではない一部だけが放射線の影響を受けた場合よりも結果は悪い。
6) 年齢と全身の健康状態
放射能が与えるダメージに苦しむ危険性の特に高い人は赤ん坊、子供、若い人、女性、妊婦、それに虚弱体質の人である。

2.8 弱い放射線の後に出る症状

放射能によるダメージや放射線の最大許容量の数字を語る時、我々はいつも癌や死といった極端な状況を念頭に置いている。
しかしそれらの前に一体何が起こるのだろうか?
殆ど知られていないことだが、いかなる放射能を持つ放射線であれ生体組織に影響を与えて満足な健康状態を冒しうるもので、非常に様々な症状として現れる。
・結膜炎、目の灼熱感、頭痛、口内が苦いもしくは金属的な味がする
・喉の痛み、嚥下困難、おえっとなる感じ、リンパ腺の腫れ
・食欲喪失または貪欲な渇望
・落ち着きのない睡眠、重大な夢、疲れの癒えない睡眠。
・アレルギー、湿疹、神経皮膚炎

西ドイツにおけるアレルギーの記録

ブレーメンの2人の医師、H. Ziggel と M. Schmidtは様々な州の健康保険会社の統計事務局を通じてデータを集め、チェルノブイリ事故後赤ん坊の死亡率とアレルギー疾患が目立って増えていることに気付いた。 (ブレーメン大学、Jens Scher博士)。

南西ドイツにおける生後一週間以内の死亡数
(注: 南西ドイツは高汚染地域であった。表記は月間の数字。)

2.9 急性放射線疾患

定義:短期間に多くの放射線量を浴びた後のヒトやその他哺乳類における症状の典型的な順序。吸収された線量が放射線症候群の性質と継続期間と重篤程度を決定する。例として4シーベルト(400 rem)の放射線は次のような事態を招く。

潜伏期: 照射から4〜12時間は症状がない

初期: 悪心、嘔吐、頭痛、虚脱、食欲不振が2〜3日続く。血液は白血球の一時的増加とリンパ球の急速かつかなりの減少を示す。

沈黙期: 最大3週間に至るまで殆ど症状が出ない。しかしこの病訴の欠落は見掛け上のものであって危険である。なぜならこの期間内に起こるいかなるストレスもさらなる健康の劣化を招きかねないからである。
血液は白血球と血小板の減少を示す。この影響による貧血は軽度から重度まで幅広い。

重大期: 初期と比べて全身的症状がおよそ3〜12週間続く。すなわち下痢、出血、それに加えた感染症による発熱。血液は赤血球、白血球ともに欠乏を示す。

最終期: この最終期に続いて放射性疾患を患う半数の人が死ぬ。生存者の回復には何ヶ月もかかる。遅いダメージが起こることがある。

2.9.1 放射線病の症状の最初の発現

・止められない嘔吐
・高熱
・出口の見えない鬱
・鉛のように重い疲れが骨の奥深くにある
・骨の痛み、特に関節の近く
・下痢、ことに見消化の食物
・空咳
・甲状腺機能亢進症
・皮膚の発赤、強い痒みや灼熱感を伴う場合を含む
・抗い難い脱力感
・妊娠三カ月になるまでに流産しがち
・妊婦の胎盤への損傷

これらの症状が単体であるいは組み合わせで現れる。

2.9.2 放射能による慢性的なダメージ

慢性的なダメージは何ヶ月あるいは何年もたってからしか展開しない。例えば放射性降下物(死の灰)の降る地域で長期に被爆した後や、放射を受けた食物を摂取した後や、下記のような初期的なダメージの後である。

・骨髄(造血器官)のダメージ
・リンパ組織のダメージ
・受胎能力喪失、萎縮、皮膚の潰瘍
・早期老化
・悪性組織変性
・脱毛

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