晩年のハーネマン

晩年のハーネマン | ホメオパシー出版 page 11/36

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晩年のハーネマン リマ・ハンドリー著 澤元亙訳 由井寅子監修 ホメオパシー出版

9In Search of the Later Hahnemannである。また、診察室にやってきた人を通じてその家族の人たちを治療することがあり、患者の妻、夫、子供のためについでに処方することもあった。彼はある程度、自分で処方することを勧めていた。……つまり、彼は次のように考えていたようである。すなわち、多くの患者はレメディーを自宅に持っておいて、臨時的に自分に、あるいは家族に処方したら、このことについて記録を取り、彼に報告する、というように。… ハーネマンの患者は、急性の症状を自分で治療することについては明らかに禁じられていなかった。 著者はこのように従来のハーネマン像を見事に根底から突き崩しました。一言でいえば、従来のハーネマン像とは、クラシカルホメオパシーにおいて形成されたイメージです。その一方で著者に対する批判も多く出てきました。著者の描くハーネマン像は、既存の資料からも十分に読み取れたとする批判者もいます。しかし従来の提出の仕方では、新しいハーネマン像を提出するに至ってなかったという事実を指摘しておきましょう。その点で本書は成功していると言えます。また、本書では『オルガノン』や『慢性病』第一巻など、ハーネマンの主著との突合せが不十分であるとの指摘もあります。しかし著者は、あくまで診ケ ースブック療日誌から読み取れるハーネマン像を描くことに徹しています。このことを考慮するなら、その批判は当たっていません。むしろ、そうした突合せの作業は私たちにゆだねられた課題として受け取るべきです。 そしてさらに、本書は現代のホメオパシーにとって実践には役立たないとの批判もあります。そんなことはまったくなく、私自身この本からハーネマンの最終的かつ多くの知恵を学ぶことができました。またこの問題は、もはや著者の責任ではなく、読者が歴史とどのように向かい合うかの問題です。すぐれたホメオパスであれば、歴史的な研究と臨床上の問題(現代ホメオパシーの課題)は密接不可分であるとの認識を持って