環境・自然治癒力・ホメオパシー ニュートピックス;
食と環境病気と自然治癒力
トラコ先生inロンドン面白本と美術館・博物館
食と環境 病気と自然治癒力 BOOKS リンク
食と環境
私たち人類も含め、あらゆる生物にとって「食べる」ことは「生きる」ことの基本となる活動です。しかし今、私たち人間はこんな簡単なことすら忘れ、食べるという行為を甘く見ているのではないでしょうか?とりあえず腹が減ったから、食事の時間になったから、だから適当に何か食べるという姿勢になっていないでしょうか?こういった「とりあえず腹が膨れればよいのだ」という安易な態度はちょっと悲しくないでしょうか? それに何より、それで健康を維持できるでしょうか?このコーナーでは、そのあたりを考えて行くことにします。

●何のために食べるか?
いったい動物にとって、食べるということはどんなことなのでしょう?  自然界に生きる動物達の場合毎日が生きるか死ぬかの競争です。たとえば、次のような仮説が立てられます。
1.食欲の本能が先にあり、食べるために熾烈な生存競争を戦う
2.闘争の本能が先にあり、生存競争に勝ち残った結果として食べ物にありつく

さらに、ペットとして人に飼われて生きている動物達の場合はどうでしょうか?私には、ペット達はただ「腹が減るから食っている」ように見えますから、そうであれば上の1.に該当します。 
しかし、食欲が先か闘争本能が先かに関わりなく「何のために食べるか」の問いは残ります。答えは、おそらく「多くの子孫を残すためには生き続けなければならない」から、最終的には「種の保存」目的で食べるのでしょう。子孫を残せという命令文は、各自のDNAにインプットされているようです。
私達は、学名ホモ・サピエンス(賢い人)と称される動物です。あくまでも動物であって、特別な存在ではありません(宗教によっては「特別」と教えますが)。そうであれば、他の動物達、少なくとも霊長類とは基本的に同じはずです。その論拠として、次のような事実が挙げられます。

ヒト(ホモ・サピエンス)の遺伝子構造の98.4パーセントがチンパンジーと同じである!
チンパンジーは、実にいろいろなものを食べます。主に果実を食しますが、場所によっては自分より小さなサルまで食べるということをご存知ですか?
以前、テレビの自然番組で見ましたが、チンパンジーがサルの頭部をブラブラさせて遊んでいました。一瞬「ギョッ」としましたが、考えてみれば、私達人間も「豚の頭部」「毛をむしった鳥」などを市場に平然と並べています。
食べるという行為は、一面ではかなり残酷なのですね。それこそ「業」なのでしょうか。それはともかく、チンパンジー達にとって「食事」とはどういうものなのでしょう?どうも、霊長類以下の動物に比べると、何か一種の「文化的要素」を感じてしまうのです。単に「腹を満たす」という行為以上の、もっと違った側面が感じられてしまうのです。
たとえば、次のような報告記事があります。

(前略)・・・好物がなければ、あるものを食べてしのぐか、探しに行けばいい。それはヒトの考え方だ。霊長研スタッフの竹元博幸さん(37)はチンパンジーの1日の時間配分を分析した。普段なら起きている時間の30〜35%は食べることに費やすのだが、果実の少ない時期は、食事時間が半減し、移動距離も大幅に減っていることが分かった。朝遅くまで寝床(ネスト)の中でダラダラし、動くと腹が減るからじっとしているのだ。 約6平方キロの広い森林の中、チンパンジーたちは膨大な種類の草木の位置を記憶し、「この木は新芽を」「あの草は髄を」と、時期に合わせて無駄なく動いて食べている。こうした恐るべき能力を身に着ける教育とは、どんなものなんだろう。好き嫌いはないのだろうか。 日本モンキーセンター(愛知県犬山市)では97年、遊具しかなかったチンパンジーの運動場に数十種の木を植樹した。すると、季節に合わせて草木を食べる行動が戻り、ぼけたように座り込むなどの異常行動が減ったという。生きるものにとって、食べるという行為に費やす時間と知恵は欠かせないものなのだ。電気もガスもない村の生活やチンパンジーの姿を見ながら、単調な軽食をかき込む日本での暮らしを振り返った。
maimaiweb 企画特集
「進化の隣人チンパンジーと暮らす ギニア・ボッソウ村からの報告」--恐るべき「食」能力から 

ギニアのチンパンジー達は、おいしいものをしっかり選択して食べているようですね。決して「とりあえず食べとこうか」という安易な態度ではないのです。もう一つ、興味あるニュースがあります。最近の新聞・テレビでも報じられているので(2004年9月)、ご存知の方も多いでしょう。米国西海岸のシアトル市近郊で、山から下りてきた熊が「ビールをがぶ飲み」して酔いつぶれているところを発見されました。それはいいのですが、驚かされるのは、熊がビールの味に「こだわっていたらしい」ことです。その場には2種類のビールがあり、一つは大手全国メーカーのもの、もう一つは地方限定のものということで、後者の方が値の張る製品と伝えられます。そして、熊は後者のビールを「選択」していて大手メーカーのビールを避けていたらしいのです。この大手メーカーにとっては「屈辱的」な出来事ですね。これほど、動物達も「食」を大切にしています。実は「食べる」という行為は、生きていく上で非常に大きな意味があるのですね。

●現代は「栄養のアンバランスとストレス」の時代?!
人類の長い歴史のなかでは、食べ物に困らない時代はほとんどありませんでした。現在もなお、先進国以外では困難が続いています。今最低限の栄養所要量すら摂ることのできない人々は極めて多く、いわゆる飢餓人口は、南アジアを中心に8億人と見られています(WFP国連世界食料計画より)。それでは、先進国では何の問題もないのでしょうか?実はたいへん悪い傾向が強まっています。それは「エネルギー量の過剰摂取」と「食環境の悪化-主に栄養の偏り」です。象徴的な事例が、日本や米国の子ども達に現れています。エネルギー量の過剰摂取については、米国で大問題になっている「子どもの糖尿病」が、非常にわかりやすく、かつ深刻な事例です。
また食環境の悪化、特に「栄養の偏り」が、深刻化する暴力事件で注目された「切れやすい子ども達」の出現や「落ち着きのない子ども達(多動性障害)」の増加、さらには「アレルギー疾患(自己免疫疾患)を持つ子ども達」の急激な増加をもたらしたと指摘する意見があります。
・・・そうは言っても、このような事例が「なぜ食べ物と関係するのか?」と考える方もおられるでしょう。しかし、これらの事例に実は「栄養の偏り」も深く関わっている疑いが出てきたのです。それを説明しましょう。食環境の悪化という現象は、典型例にはファーストフード店やコンビニエンスストアの増加、共稼ぎ家庭の増加等で、子ども達が「栄養バランスを欠いた食事」を日常的に摂取する傾向にある点に象徴されます。これは、個々のファーストフードやコンビニで売られている食品が悪いという意味ではなく、一定の成分傾向を持つ食事が常態化しやすいということです。またジャンクフード(極端に塩分や脂質分が多いものが目立つ)は、それだけでは明らかにバランスを欠くケースが多いのです。実は、このような「栄養の偏り」が子ども達に与える影響について、かなり前に報告が出ています。次に挙げるのは外国の例ですが、具体例として広く知られているものです。
米国で1980年代に調査が行われた。ある少年院の子ども達の、収容されるまでの普段の食事内容を分析。この少年院の子ども達の食事内容では、ビタミンB1・B2・B6、ナイアシン、葉酸、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などの栄養素が、かなりの程度共通して不足していた。不足していたのは、ビタミンやミネラルに属するものですが、栄養素の不足と子ども達の生活態度との関連に注目が集まりました。こういった食環境のマイナス方向への変化が、現代の子ども達が抱えるトラブルの、大きな要因の一つと考えられています(もちろん食環境の悪化は、大人にも悪影響があります)。このように、以前は家庭のしつけ、学校教育の欠陥・・・、いろいろな理由が語られた諸問題に対しても、さまざまな調査研究により「食」が人間の精神や身体に与える影響が極めて大きいと考えられるようになったことで、新しいアプローチが取られつつあります。
近年、わが国の教育界で「食育」が語られる理由の一つには、このような研究成果が背景にあるのです。もちろん、これだけが原因かどうかはわかりません。子ども達を取り巻く環境(家庭・学校など)が彼らにストレスを与え、彼らの自律神経系に緊張を強いていることを主な原因に挙げる研究者もいます。とにかく、現代は「飽食」の時代であると同時に、栄養のアンバランスとストレスの時代でもあると言えそうです。

このページのTOPへ
Copyright©2004-2005 日本ホメオパシー医学研究会 All rights reserved.