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食と環境
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◇オゾン層破壊と皮膚ガン

今回は、単純にいうなら「太陽」との付き合い方がテーマです。
よく知られているように、5月頃から9月頃までは、北半球では紫外線の量が非常に多くなります。
私たちが暮らす島、南北に長くつらなる日本列島ですが、南北で程度の差はあるにしても、ここでも強い紫外線から逃れることはできません。
そしてさらに、環境破壊の顕著な1例として、有害紫外線をある程度遮ってくれていた「オゾン層」が、少しずつ破壊されているといいます。


●オゾン層とは何か?

酸素の分子は、酸素原子(O)が2個くっついてできたものであり、安定した物質です。しかし、酸素に紫外線などが当たって安定した分子構造が壊れると、すぐ近くの酸素分子と反応して、酸素原子3個が結合した「オゾン」が生まれます。
ですから、オゾン自体は難しい作業を経ないでも作り出される物質だということがわかります。なにしろ酸素の原子が3個くっついてしまえば「オゾン」なのです。
さて私たちの地球は、大気におおわれた星です。この大気がなければ、まるでお月様のような無残な状態になりますが、大気があるおかげで青く美しい、生命の溢れる星になったのです。
地球の大気はまた、次のように分けられます。
・対流圏・・・地上から約10kmまで
・成層圏・・・さらにその上、約50kmまで
・中間圏、熱圏・・・さらにその上
この「成層圏」と呼ばれる部分ではオゾン濃度が高く、オゾンが厚い層のようになっているため、そのような層のできている部分を一般に「オゾン層」というのです。

☆成層圏では、酸素分子(酸素原子2個)が波長の短い紫外線(波長200〜240nm:ナノメートル)をよく吸収するため、その紫外線のエネルギーによってオゾン(酸素原子3個)に変わると考えられます。またオゾン層は、20億年以上もの年月を費やして形成されたといわれます。
太陽光線の約2パーセントは、エネルギーの高い紫外線(ユーブイ:UV)です。特に紫外線の1つ:UV-B(下記参照)は、皮膚の炎症、免疫力の低下、皮膚ガン、白内障などに結びつくと考えられる、有害紫外線です。
しかし、オゾン層が損なわれず健在であれば、UV-CやUV-Bのような有害な光線も地上に到達する前にカットされるケースが多いわけです。


●紫外線とは何か?

簡単にオゾン層に関する基礎知識を整理しましたが、そのなかで、すでに「紫外線」という言葉が登場しました。 この「紫外線」という言葉は、毎年5月あたりになると、テレビでも雑誌でも化粧品会社のCMで豊富に使われます。日焼けを気にする女性たちに「UVカット」とか「美白」とか、さまざまな単語を繰り返して、シミができるぞ! そうなったら大変だぞ! ・・・というふうに、呼びかけているわけです。
こういうCMから受けるのは、やはり『紫外線は悪』というイメージです。
また実際に、南半球のオーストラリアでは、子供たちは外で遊ぶとき、スポーツをするとき、必ず日焼け止めクリームを塗らされるようです。ですから、オーストラリアでは、特に若い女性だけが紫外線を気にしているのではないのでしょう。
いったい、私たち人間にとって、紫外線はそれほど有害で無価値なものなのでしょうか?
ここで疑問が湧いてきます。従来から、夏ともなれば海やプールに出かけて、サンオイルを全身に塗りたくって黄金色に日焼けすることがとても健康的なことと思われてきました。
これはどうも、地中海沿岸の南フランスの海岸などで、普段は日光の少ない場所に暮らす白人たちが、陽光を貪るようにからだをさらしているようすを見て、日本人もまねをしたのだろうと思われます。
しかし全身を日光にさらせば、有害光線である紫外線の一種を、若干は浴びてしまうのではないか?
・・・そう思われます。
それでは、ヨーロッパの人たちはなぜ一生懸命に日光を浴びようとするのでしょう?
その答えは、かつて18〜19世紀に、日照時間の少ない北欧などで「くる病」の発生があったため、その対策として日光浴がよいとされ、紫外線を浴びることで病気を予防できると考えられたためです。
現在では、くる病の発生と紫外線量の直接的な関連には否定的な意見が多いようです。

@紫外線の種類
太陽光線は、はるかな宇宙空間を横切ってきて地球に降り注ぎます。それはもう、もの凄いパワーがありそうです。 それで、太陽光線といってもいろいろな光があるわけで、大きく区別すると、波長の長いものから「赤外線」「可視光線」「紫外線」の3種類があります。 その紫外線はまた、波長の違いによって、次の3つに分類されます( nm はナノメーター。1nmは、1メートルの10億分の1の長さに相当)。
・UV-A(紫外線A波)波長(400又は380〜315又は320nm)
・UV-B(紫外線B波)波長(315又は320〜280nm)
・UV-C(紫外線C波)波長(280〜200又は10nm)

☆前述のように、UV-Cは波長が短いため、通常は成層圏でほとんどカットされます。UV-Bについても、かなりの部分がオゾン層でカットされます。したがって、地上にいる人間のところまで達することはないはずでした。しかし、近年大きく報道されたように、フロンガスの増加によるオゾン層の破壊によって、場所によってはUV-CとB
にも注意が必要になっています(特に南極の近く:オーストラリアなど)。

A紫外線の役割
紫外線はまったく有害なだけの存在ではありません。それが適度な量であれば、私たちにとって大切な役割を果たしてくれます。
たとえば、次のような働きがあると考えられています。

・骨の発育に必要なビタミンDを合成します
・全身の抵抗力を強めます
・皮膚に炎症反応を起こすリンパ球の増殖を抑えます
・血液の循環をよくします


●紫外線の害とは?
さて、UV-AとUV-Bの2つは、オゾン層を突き抜けて地上に降り注ぎ、私たちの皮膚にまで到達します。 UV-Bは皮膚の表皮の深さまで入ってきますし、もっと波長の長いUV-Aは、さらに深く真皮にまで到達します。そして、それが私たちの皮膚にどんな影響を与えるのかを考えないといけません。
UV-Bは、まず急性反応(日焼け)を起こしますが、長年のあいだ継続して浴びると「シミ」を作ります。UV-Aの方は真皮に影響して「シワ」の原因を作ります。

<各紫外線のマイナス作用>
@UV-A(紫外線A波)……ほとんどが地上に達する。大量に浴びるとDNAに傷がつき、皮膚の老化を早める。
AUV-B(紫外線B波)……大量に浴びると有害。免疫力の低下や、皮膚ガン・白内障を引き起こすこともある。オゾン層の増減により、地上に到達する量が大きく変動する光線。
BUV-C(紫外線C波)……最も有害な「殺菌光線」です。成層圏・オゾン層でかなり吸収されてしまうため、地上にはほとんど到達しません。免疫力を低下させ、皮膚ガン・白内障を引き起こす。

とりあえず一般論としては、紫外線は日常生活のなかで適度に接するなら有害ではありません。その一方で、皮膚ガンや皮膚の老化、日の疾患や免疫機能の低下といった害をもたらすこともあります。

☆動物にも過度の紫外線は有害です。皮膚がんはほとんとすべての動物に見られます。たとえばネコ、イヌ、モルモット、ウシ、ヒツジなども皮膚ガンに罹ります。

☆動物の場合、毛皮(体毛)に覆われた部分には、UV−Bなど紫外線の影響はほとんどないと思われます。ただし、口のまわり、鼻孔など、皮膚が露出した部分があり、こうした部分は、ある程度の色素沈着がなければ直接的なダメージを受けると思われます。

参考サイト:オゾン層等の監視結果に関する年次報告書(環境省)

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