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病気と自然治癒力
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◇ 高血圧とその治療 ◇

最近、携帯用の血圧測定器が普及してきました。それだけ血圧を気にしている方が多いということでしょう。なにしろ日本では、3,000万から3,500万人が高血圧と見られているのです。
これは近年になって、国際的にも「高血圧の範囲」がより広く認識されるべきだという意見が強まり、高血圧の「範囲」に分類される人が増えたことも原因になっているのです。
そして、先月のトピックスで扱った「メタボリック・シンドローム」を思い出してください。多くの場合、高血圧症は一人ではやってきません。たいてい「悪い仲間」とつるんでいます。
ですから、高血圧症が「単独で」どれほど危険な病気か、または危険でないか・・・とは別に、糖尿病や高脂血症、肥満(症)などを伴う場合の危険性はしっかり認識されなければなりません。


そもそも血圧はなぜ変化する?

まず、ベイシックな部分から確認してみましょう。 この「血圧」というのは、そもそも何でしょうか? 血圧を単純に定義すると、血管内を流れる血液が「内側から血管壁に与える圧力」です。この圧力が存在するのは、心臓が血液を送り出す際に勢いをつけているからです。
よく知られたとおり、心臓は筋肉製の小さな袋のような臓器です。筋肉運動で収縮を繰り返して、一種のポンプのような役目を果たします。
心臓は、静脈を通って帰って来た血液を肺に送り、そして、肺で新鮮な酸素を取り入れたきれいな血液を、今度は全身に送り出すわけです。それはもう、小さな筋肉製の袋にとっては大変な作業です。
血液を送り出すときに何らかの強い圧力がなければ、血液が引力の法則に逆らって下から上へ流れることもありません。また、各部の細い血管までくまなく血液が流れることもないでしょう。
もちろん、血管には血液の逆流を防ぐための「弁」もあり、血圧の力以外にいろいろ精巧なメカニズムがあることは言うまでもありません。
ちなみに心臓が送り出す血液量は、1回の拍動で約100ミリリットルと言われます。そして、一日では約10万回もこの動きを繰り返すと言いますから、本当にご苦労様と声をかけたくなるほどです。
そこで、この血圧がなぜ変化するのか? それを考えてみましょう。
血圧の変化は、短期的(たとえば一日のなかでも変化する)なものと、長期的(加齢に伴い高くなる傾向がある)なものがありますし、感情の起伏(喜び、怒り・・・など)や、身体状況の一時的変化によって生じる場合もあります。
長期的な変化としては、男性はおおよそ40歳以上、女性はおおよそ50歳以上から、血圧が高くなる傾向があると指摘されています。
また、短期的(一時的変化)で非常に身近な例を挙げると、お酒を飲んだとき、一時的に血圧は下がります(飲酒時および約2時間以内)。逆ではないかと思われるかもしれませんが、そうなのです。 飲酒によって、一時的に血管が拡張して血流がスムースになり(お酒で「血のめぐりが良くなる」と言いますね)、血圧は下がります。しかしまた、その状態が持続するわけではありませんから注意が必要です。日常的にアルコールを摂取することは、基本的には血圧を上げる要因なのです。
また、薬剤の副作用によって血圧が上がることも、多くあります。さらに、やや激しい運動、すなわち体を動かした場合にも、脈拍数が増えて血圧が上昇し(心臓の鼓動も激しくなり)ますし、危険に対処する必要に迫られたときにも、同様です。
これはもちろん、筋肉に新しい酸素を供給する、血中に分泌したモルモンによって各器官に指令を発する、などの必要があるからです。


家庭で血圧を測る場合の注意

さて、各種の家庭用血圧計が販売されているわけですが、自分や家族の血圧を正確に測らなければ意味がありません。

□どのタイプの血圧計なら、より正確に測れるのか?

@手首や指で測定するタイプの血圧計より、上腕で測定するタイプの方が、測定結果が安定している  (一般にそう考えられるということ:特定のメーカーの製品をお薦めするわけではありません)

Aいつ、どのように測定するか?

(1) まず2〜3分間は安静にした後、腕を軽く伸ばした状態で机の上に置く。
(2) 測定部=上腕のカフ位置は、心臓の高さになるようにする。
  ⇒位置が心臓より低くなると、血圧測定値が実際の数値より高くなり、心臓より高くなると、逆の結果になる


高血圧の方が注意することは?

昔から「高血圧の人は塩分を控えめに、お酒は止めるべし」と言われて来ました。これが全面的に正しいとか、まったく間違っているとか、そういう断定はあまり意味がないかもしれません。
なぜなら、病気の治療に当たっては、個々人の体質が非常に大きな要素となるからです。高血圧の治療に当たっても同じなのです。
極論を言えば、血圧が高いからといって、脳卒中や心筋梗塞になると決まっているわけではありません。
ある新聞記事によると、「脳卒中になった人の実数は、高血圧の人よりも、正常血圧から発症する人の方が多い」(読売新聞:2003年9月24日、読売新聞社HP:YOMIURI ON-LINE「医療と介護>健康ライフ」参照)ということです。
現在の医学の水準では、人間のからだについてわかっているのは「せいぜい10パーセント程度」という医師の話を、テレビの番組で聞いたことがありますが、本当によくはわかっていないのです。
ただし、私たちが「どっちにしても、死ぬ時は死ぬんだ」と開き直っては始まりませんから、かなりの程度信じられる情報をもとに、気をつけることが大切です。それが、セルフメディケーションの実践でもあります。

<高血圧症の方が気をつけるべきこと>
総論として、
 @バランスのとれた食生活を心掛ける⇒塩分・アルコールなどの過剰摂取を避ける(外食を抑制)  
 A肥満にならないよう節制する(食事内容・間食の習慣を止める、運動の習慣をつける、その他)
 Bストレスをため込まない(楽しいことを見つける)  
 C喫煙の習慣はやめる(まず煙草の本数を減らす)

□高血圧症の方の食事は?

どこでもまず、減塩食が言われますが、最小限度の塩分が人体に必要なことは言うまでもありません。しかし、コンビニ弁当、外食などが食生活の中心になっている方は、基本から改めないといけないでしょう。
特に外食の場合、品物にもよりますが、脂肪分と塩分が必要以上に多いケースが多いと見られます。
なお、減塩食を中心にした食事療法は、収縮期血圧(上の血圧:高い方の血圧)を下げるのに効果があると考えられています。

□ミネラル、特にカリウムとカルシウムが大切

@ミネラルの一種であるカリウムは、細胞内における代謝機能、筋肉の収縮運動にかかわる物質
 ⇒私たちのからだの細胞内液は、その主成分がカリウムイオンです。それに対して、細胞外液の主成分はナトリウムイオンなのです。この両者のバランスが常に維持されないと、血圧が上昇すると考えられます。すなわち、両者のバランスが崩れると、細胞内にナトリウムが多く入り、また逆にカリウムが出てしまいます。その結果、血管が収縮して血圧が上昇すると思われます。

Aカルシウムとマグネシウムの比率が大切
 ⇒私たちのからだの細胞の内側には、マグネシウムが多くあります。逆に外側には、カルシウムが多くあります。そして、細胞中にカルシウムが出入りすることで電気が起こり、筋肉の運動や「血管の収縮運動」が可能になるのです。ですから、カルシウムとマグネシウムとの最適バランス(血液中の Ca と Mg の比率=2:1)を維持する必要があります。カルシウムが不足してバランスが崩れると、血管の収縮運動に支障が起こり、血圧を上昇させることもあります。

□タンパク質も大切

タンパク質が十分に摂取されていると、塩分による血圧の上昇が抑制されると考えられます。ですから、魚類、鶏卵、肉などの動物性タンパクと、大豆製品の植物性タンパクをバランスよく摂取することが大切です。


高血圧症の方の運動療法

いわゆるスポーツ医学の研究者や、高血圧症患者における運動療法の実践を通して、高血圧と運動(スポーツ)の関係が明らかにされています。 その要点を整理すると、次のようになります。

◎「適度な運動」を続けて行うと、血圧が下がると見られる:

  <理 由>
 (1) 血圧を上昇させる物質・カテコールアミンが、適度な運動によって減少する。→交感神経の緊張を緩和・心拍数も減少
 (2) 血管(特に毛細血管)が拡張する  
 (3) 血液中のコレステロールが減少して、動脈硬化が緩和される  
 (4) 筋肉組織内の酵素の働きが活性化する

このように「適度な、軽い」運動をすると、ゆっくりと着実に血圧が下げられると考えられます。
しかし、薬物(血圧降下剤)で下げた血圧は、服用を中断すると急激に上昇する可能性もあります。
運動療法では、運動をやめてもすぐに血圧が上昇することがありませんし、運動療法では、高脂血症や糖尿病、肥満(症)をも改善させられ、効率的と見られます。

○運動療法が可能な方
 基本的に収縮期血圧が160(mmHg)以下で、拡張期血圧が105(mmHg)以下の、軽度高血圧の方
 ⇒以前はもっと血圧が高かったが、薬物治療でこの範囲まで下がった方も可能

○運動療法を避けるべき方
 上記の数値を上回る方、病気(狭心症、心不全、腎臓病など)治療中の方、眼底検査で異常のある方、などは危険ですから避けてください。


高血圧症の薬物療法−降圧剤−

高血圧が治療を必要とするレベルの方には、血圧を下げるための薬物、血圧降下薬(降圧薬)があります。
医師から「高血圧症」と診断されると、比較的早い段階でこのクスリが処方されることが多いようです。しかし、クスリをもらって安心してはいけません。降圧薬は、高血圧の原因を除去するわけではありません。まったく一時的に血圧を下げるだけなのです。
そうはいっても、血圧が危険なほどのレベルに上がった場合、一時的にでも下げなければならないのは当然です。また、降圧薬を服用して血圧が落ち着いたからといって、すぐに服用を中止するのも危険なことです。場合によっては、脳卒中や心筋梗塞の発作に結びつきます。
※注 各種の病気治療に用いられる薬物は、副作用として血圧を急激に高めるものもありますから、クスリの服用に当たっては、副作用の情報、飲み合わせの可否などにご注意ください。

<降圧薬の種類>
現在、一般に処方されている降圧薬は、大きく分けると三種類あります。

@利尿降圧剤
腎臓に作用して尿量を増加させ、血液量を減らす薬です。

A神経抑圧薬
神経を抑制すると血管が拡張して抵抗が小さくなり、血圧が下がります。

B血管拡張薬
血管壁の筋肉に作用して弛緩させ、血圧を下げます。


<参考サイト>
Tsubono Report(医学博士・坪野吉孝氏のホームページ)
http://www.metamedica.com/index.html

札幌厚生病院循環器科
http://www.gik.gr.jp/~skj/

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