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病気と自然治癒力
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◇ 怖い急性心筋梗塞 ◇

中年以降の男性にとって、ガン・脳卒中と並んでとても恐ろしい病気とされるのが『心筋梗塞』です。

何と言っても、心臓そのものに直接ダメージがあるのですから、怖いものです。 また、欧米人の男性には心筋梗塞が非常に多く、それによる心臓発作は『ハート・アタック』と呼ばれていることは有名です。
とにかく命にかかわる場合が多いこと、急に症状が現れること…など、とにかくやっかいな病気であることは確かですから、ここで基礎知識を整理しておきましょう。

●「虚血性心臓疾患」の『虚血』とは?

通常、狭心症と心筋梗塞の2つを合わせて「虚血性心臓疾患」と呼ぶことが多く、心筋症や心臓弁膜症などの他の心臓病とは区別します。
これはなぜかというと、「虚血性心臓疾患」の場合には、心臓という臓器それ自体に病因があるわけではないからです。すなわち虚血性心臓疾患は、心臓の構造に欠陥があることが原因となる病気ではないのです。
それでは、ここでいう「虚血性」とは、どういうことなのでしょうか?

<コラム>『虚』という文字について
少し話題が逸れますが、漢方医学(中国では中医学)の本を読むと、そこに『腎虚』とか『虚証』といった言葉が多く目に入ります。漢方医学では、個別の患者の体質を重視して治療するため、まず患者が『実証』か『虚証』かに注目するのです。
ここではこれ以上立ち入りませんが、漢方医にとって2つの概念−すなわち「実」と「虚」−は、患者個人の特質(体質)を把握するときのキーになるようです。
それで、この『虚』という文字ですが、わかりやすく言い換えると「不足している」ということであって、すなわち『虚血』は「血が足りない」ということです。
「虚血性心臓疾患」とは、わかりやすくいえば、心筋(心臓を動かす筋肉)への血液の供給が減少したり途絶えたりした場合に、筋肉組織がうまく働かなくなって起こる循環器系疾患です。
考えてみると当然のことながら、心臓の筋肉は冠動脈を通して新鮮な酸素や栄養分が入ってきて初めて働くのですから、補給が止まると組織が壊疽を起こして死んでしまったり(急性心筋梗塞)、血流が部分的または一時的に妨げられて発作を起こす(狭心症)のです。
<心筋梗塞と狭心症の違い> 狭心症と心筋梗塞の違いはいくつかありますが、決定的な違いは「心筋が回復するか否か」という点です。狭心症では心筋は死なないで回復しますが、心筋梗塞では死んでしまうのです。
以下、主な差異を挙げておきます。
@狭心症が心筋梗塞と異なるのは、狭心症の場合には、血流が完全に遮断されるのではなく、したがって心臓組織の壊死もないことです。
A一般的に、心筋梗塞は狭心症に比べて重症で、発作も長く(数時間)続くことがあります。
B心筋梗塞では、ニトログリセリンなどの舌下錠があまり有効ではないとみられます。
※場合によっては、冠状動脈の一時的なけいれんが狭心症につながることもあります。

なお心筋梗塞は、心筋が壊死を起こす部位(場所)によって3分類されます。
・前壁梗塞
・側壁梗塞
・下壁梗塞
心筋梗塞には、いくつかの特徴的な症状があります。以下によく見られる症状の一部を挙げます。
・激しい胸の痛み(激痛)が続く(15〜30分以上)
・脂汗や冷や汗が出る
・はき気、嘔吐感がある
・呼吸困難を伴なう
・顔面蒼白になる
☆急性心筋梗塞と思われる心臓発作の場合は、救急車の出動要請を考えること
☆急性心筋梗塞の発作の場合、患者は数時間以内に死亡する可能性があります。
心臓の活動を支える動脈は冠状動脈(冠動脈)です。冠状動脈こそが、心臓を動かす筋肉(心筋)に新鮮な血液を供給し、酸素と栄養分を補給しています(血流の量は、4〜6リットル/1分間)。
前述したように、この血液の流れがせき止められることで虚血性心臓疾患に至るわけですが、ではなぜ、血流がせき止められるようになるのでしょうか?

●最大の原因は動脈硬化

最近では、テレビの健康番組で『サラサラ血液』という言葉が定着しました。多くの人が健康番組を見て、自分の「血管年齢」を気にしたりするというのは、基本的にはいいことでしょう。さて、血液がサラサラではない状態を『ベトベト』などと表現しますが、実際に動脈硬化が進んだ状態の血管内壁の写真(実物)などを見ると、本当にゾッとしてしまいます。いかに血管というものがデリケートなものなのかを痛感させられるのです。

<最も多いタイプの動脈硬化は?>
最も多いタイプの動脈硬化は『アテローム動脈硬化』と呼ばれるタイプです。
これは、脂肪性の物質が沈着して形成されたアテロームと深く関連した動脈硬化であり、このタイプの動脈硬化による損傷は、中動脈や大動脈に生じると考えられます。
さて、血管(この場合は冠動脈)がボロボロの状態−動脈硬化がかなり進んだ状態−とは、アテローム(脂質)の表面をおおっている膜が破れて、そこに血液成分が固着し、血栓(血液成分の塊)を形成してしまうような段階です。
この血栓がだんだんと大きくなり冠動脈の血管をふさいでしまうと、血流が完全にストップして、心筋が「壊死」してしまう……心筋梗塞です。
したがって、直接的には、心筋梗塞の主な原因は動脈硬化(症)といえます。
ではなぜ、人はこんな動脈硬化(症)という病気に至ってしまうのでしょう?
動脈硬化自体は、加齢による必然的な部分を含んでいます。しかし、それだけではありません。要するに、加齢だけが原因で重篤な動脈硬化症には至らないのです。
そこには、いくつかの危険因子(リスクファクター)が存在します。この危険因子が揃えば揃うほど、動脈硬化は危険な状態に近づくと考えられます。

○動脈硬化の危険因子(リスクファクター)
・高血圧(症)
・糖尿病
・高脂血症
・肥 満
・喫 煙
・運動不足
・加 齢
・ストレス
・性格(几帳面な気配り型・A型性格)


●心筋梗塞の予防策=《死の四重奏》から逃れること

以上の危険因子をできるだけ減らすことが、重篤な動脈硬化にまで至らない予防策です。
なお、加齢と性格はどうにもなりませんが、他の部分は努力と工夫でどうにか凌げる可能性があります。
何といっても、動脈硬化を悪化させ、虚血性心臓疾患を招き寄せる危険因子の主なものは、高血圧(症)、糖尿病、高脂血症、肥満(症)の組み合わせ……《死の四重奏》です。
この四重奏は、絶対に避けなければなりません。
また、別の表現方法もあります。
肥満(特に内臓肥満)が中心となって、高血圧(症)、糖尿病、高脂血症のいくつかが重なった場合が、最近よくいわれる《メタボリック・シンドローム》です。
この《メタボリック・シンドローム》に陥ることも避けなければならないのは当然でしょう。
さらに厳しく、これらのような複合状態にならなくとも危険性があると覚悟するべきかもしれません。

<単独でも動脈硬化を促進すると考えられる因子>
・高血圧(症)
・高トリグリセライド血症(高脂血症のうち、中性脂肪値が高い場合)
・上半身の肥満
・耐糖能異常(糖尿病、またはその前段階である「境界型」)


●心筋梗塞に伴なう病気にも注意!

心筋梗塞の「前兆」として狭心症の発作が起こる場合もあります。
また、狭心症の発作が連続するときは、極めて危険…たとえば最初の狭心症発作に続いて、2〜3週間以内に次の発作が起こるような場合は危険です。すぐに精密検査を受けるべきでしょう。
心筋梗塞の前兆としてみられる(または同時並行的に起こる)循環器系の疾患は次のようなものです。

@狭心症  突然胸を締め付けられるような痛み(場合によっては、それほどはっきりしない症状もある)。心筋梗塞症の発作よりは軽く、時間も短いことが多い(15分以内)。
A不整脈 脈が飛ぶ、乱れる。また、一時的に脈が遅くなります。
B心不全 心臓機能が低下して十分な量の血液を送り出せなくなるため、血圧の低下や息苦しさなどがある。

参考サイト:財団法人 心臓血管研究所付属病院 http://www.cvi.or.jp/


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