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病気と自然治癒力
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◇ 熱中症と水分・塩分などの補給 ◇

真夏になると、テレビの天気予報やニュースなどで、熱中症という言葉を聞くことが多くなります。
もっとも、かなり昔は、子ども達の間では『日射病』という言葉が一般的でした。学校の先生からも、母親からも「日射病にならないように、帽子をかぶれ」と言われました。
それでは、熱中症と日射病はどう違うのか? ・・・そういわれるとはっきりしない方も多いでしょう。


●日射病は『熱中症』の一種ですか?

<日射病はもう古い?>
日射病は、その語句から想像できるように「長時間、日(陽)に当たること」によって起こります。日射病は気温の高い季節(6月〜9月前半)に、長時間にわたって屋外で直射日光にさらされる人に起こります。ですから、夏でも外で仕事をする方(工事関係・配送関係・農業など)、スポーツなどの練習や試合がある人、屋外で訓練がある人、そういう人達が特に注意を要します。
病気のメカニズムとしては、長時間にわたって直射日光にさらされることで大量に汗をかいて、体内で水分が不足して(脱水症状=体内で水分が不足すれば、血液中の水分も減少しています)、血液濃度が上昇して(ネバネバ状態になって)、それで血流が滞り、体温調節を含めて体の「調整機能」が失われる・・・ということになります。
ただ、最近では「日射病」という言葉があまり使われなくなってきました。
それは、日射病の原因が「直射日光」に限定されているからかもしれません。
すなわち、最近使われる『熱中症』では、直接の原因が「直射日光に当たること」に限られていないので(下記参照)、季節も場所も限定されません。そうすると、日射病も含めて『熱中症』という言葉で広くカバーしたほうが便利なのかもしれません。

<ペットの日射病・熱中症>
当然ですが、ペットの場合にも日射病(熱中症)はあります。特に体力のない小型犬や子犬など、真夏の長時間にわたる散歩は危険です。また、エアコンを止めたまま暑い室内に置いていくとか、暑い車内に置いていくといった行為は、絶対にやめましょう。

<日射病の症状は?>
日射病の症状としては、息遣いが荒くなり、皮膚は暑くサラサラした乾いた状態で、汗が出なくなってきます。そしてさらに、吐き気、めまい、頭痛などの症状がみられるようです。酷い場合は、失神したりすることもあります。


●熱中症の中身は?

熱中症は、おおむね次のように分類されます(別の意見もあります)。このなかのどれかに該当すれば「熱中症」と表現されるわけです。

※ここではとりあえず、日射病を「熱失神」に含める方式で区分しました。日射病の位置づけは、医師によってかなり見解が異なるようです。日射病は、直射日光に当たることで熱痙攣(ねつけいれん)を起こすような場合に限定した病名とする説などもあり、いろいろ混乱があるようです。

<熱中症の分類>
・熱疲労(熱射病の前段階)
・熱射病
・熱痙攣(ねつけいれん)
・熱失神(日射病を含む)

◇熱疲労とは何か?

これは、単純に表現すると「熱射病」の前の段階です。
密閉された高温多湿の屋内などで、長時間を過ごした場合に起こります。また、長風呂をしすぎたときなどにも起こります。

◇熱射病とは何か?

<熱射病とは何か?>
上述したように、熱中症のなかには「熱射病」というのもあります。まさに字の如く「熱」が原因となる場合です。たとえば、空調設備のない高温の屋内などで長時間働いた場合を考えてください。直射日光が入らなくとも、体温はどんどん上昇してしまいます。
この「体温がどんどん上昇する」という部分が熱射病のポイントであって、発汗による脱水状態がポイントになる「日射病」と大きく違うところです。
もちろん、熱射病の場合も汗をかくことはあります。しかしむしろ、うつ熱(熱が体内にこもる)による体温調節機能への障害と、高体温による組織への障害が、熱射病の特徴なのです。
熱射病がよく報告されるケースとしては、密閉した車内に幼い子どもや犬などを置いたまま、何時間も買い物(またはパチンコ)に夢中になって、戻ってみたら・・・という状況です。熱射病の場合は、長時間にわたって密閉された環境内で温度も湿度も上がり、(多湿によって)汗を体外に充分排出できないことから体温調節機能がうまく働かなくなって、体温がぐんぐん上昇するというところに原因がありますから、日射病とは違って、特に夏に限られたものではありません。条件が揃えば、どんな季節でも起こりうるのです。

<熱射病の症状は?>
熱射病では、顔面が紅潮して、吐き気、高熱、頭痛、動悸などの症状を訴えることが多いようです。重症になると、意識障害、昏睡、全身けいれんもみられます(このようなとき、体温は39度以上になっているケースが多い)。当然、命にかかわることにもなりかねません。救急車の手配が必要なケースもあります。

◇熱痙攣(ねつけいれん)とは何か?

これは、手足や腹部の筋肉が痛みを伴ってけいれんを起こすものです。
けいれんが起こるのは、水分と塩分が共に失われた場合や、発汗のあとで水分のみ補給して塩分を補わなかった場合などです。通常は、塩分の補給(生理食塩水、スポーツドリンクを飲ませるなど)で回復します。

◇熱失神とは何か?

(ここでは、日射病を熱失神に含む立場です)

多くの場合、高温にあまり慣れていない人が、温度の高い場所に立ち続けたり、直射日光にさらされたりして、血管が拡張(体温を下げるため血液中の水分が増え、血管が拡張する)して、一時的に低血圧が生じるものです。
朝礼などで、直射日光の当たる校庭に長時間立ち続けると失神する生徒が出てきますが、これに該当します。


●熱中症の予防と水分・塩分の補給

@熱中症が起こりやすいのはどんなとき?

熱中症がどんなときに起こりやすいのかを知れば、それを予防するのに役立ちます。以下、主なものを列挙してみます。

<熱中症が起こりやすいのは?>
・急に気温が上がったとき(梅雨明けの時期、残暑の戻りがある時期)
・気温がそれほど高くなくとも湿度が高いとき
・激しい運動をしたとき
・寝不足のとき
・疲れが溜まっているとき

A水分・塩分などの補給

○体重の3パーセントの塩分流出で支障が
人間は体重の3パーセント以上の水分が失われると、体温調節に支障があると見られています。たとえば、体重60キログラムの人なら1.8キログラムです。
前の日の入浴時に計った体重が、ゴルフやテニス(その他なんでも)のあとで3パーセント以上減少していたら、それは痩せたのではなく、水分がなくなったということです。それも、すぐに補給しなければいけない程、失われたということです。
ですから、何か激しい運動をするときには、熱中症にならないために、自分の体重の変化にも注意する必要があります。

○ミネラルを含む塩分・糖分・クエン酸
汗をかくときに失われるのは水分だけではありません。体内の塩分もまた失われます。そして、人間にとって塩分というのはとても大切なものです。
実際に過去において、水分だけを補給して塩分の補給をしなかったため、多くの人が熱中症で亡くなってしまったケースもあるのです(米国のダム建設現場)。それなら、水分と塩分を同時に摂るよう、食塩水を飲めばいいのでしょうか?
たしかに食塩水でもいいのですが、ここで大切なのは、塩分の中身と濃度です。
普通は、塩というと「食塩」を思い浮かべますが、これはほとんど工業的に精製されたもの《99パーセント以上が塩化ナトリウム<Nacl>です》であって、自然塩ではありません。
自然塩の場合には、人間の体内に存在するものとほとんど同じミネラル(無機質)を含んでいます。ですから、自然塩(ナチュラル・ソルト)を摂るほうがいいのです(現在、ナチュラル・ソルトは、いろいろなところで販売されています)。
また、体にやさしく速やかに浸透する塩分濃度は、0.2パーセント前後と言われています。

さらに、運動によって、エネルギー源の糖質が消費されていくので、糖分の補給も必要です・・・疲れたときには甘いものが美味しいというのは、理屈にもあっています。そして、TCAサイクル(クエン酸回路)のエンジンを全開させるクエン酸もあわせて摂るとベストでしょう(【食と環境】3月のトピックス:参照)。
ということで、一番いいのは、自分のドリンクを用意することです。マラソン競技者などは、自分のドリンク(マイ・ドリンク)を常に準備しています。
そして、ドリンクの中身には、糖分・塩分・クエン酸が適量に含まれるよう作ればいいでしょう。

<ミネラルとは?>
ミネラルとは、体内に存在する元素のうち、水素・炭素・窒素・酸素を除く元素の総称です。ミネラルは人間の体内で作ることはできず、微量ですが生命活動に絶対に必要なものです(微量元素とも呼ばれる)。
ちなみに、いわゆるミネラルウォーターのなかでも、商品ラベルに『ナチュラルミネラルウォーター』と表示されているものは、このミネラル成分が一定以上含まれています。

○ドリンク補給のタイミングはいつなのか?
タイミングを知るには、自分の汗を舐めてみること。汗が「ショッパイ」という場合は、塩分の流出があります。こんなときには、塩分入りドリンクを摂りたいものです。
いつもマイ・ドリンクは面倒という方は、メーカー各社のスポーツドリンクを調べてみてください。気に入るものがあるかもしれません。

<真水は良いのか悪いのか?>
ミネラルも塩分もほとんで入っていない水(真水)は、あまりよくありません。真水を大量に摂ると、血液中で水分が増え、塩分濃度が急速に低下します。そうなると、体は血液中の塩分濃度を維持しようとする調節作用が働き、水分を外に出し始めます。すなわち、脱水状況は改善されません。
・・・ということで、塩分・ミネラルと糖分を含んだドリンクが、脱水症状と疲労を予防するのに一番有効なのです。

<喉が渇いてからでは遅い!>
夏場に運動をする場合などは、喉が渇いたと感じる前に水分や塩分を補給をすることが大事です。特に、直射日光が照りつけるなかで試合をする、練習をするなどの場合、時間を決めて定期的に水分補給を行う必要があるでしょう。

<バナナと梅干しも有効>
スポーツ選手には、試合の休憩時間に「バナナ」を食べる人がいますが、これは、バナナで糖分補給ができるからです。また、塩分とクエン酸を補給できる「梅干し」も大切な一品です。

参考サイト

(財)日本気象協会熱中症予防情報
http://www.n-tenki.jp/HeatDisorder/

「地球温暖化と健康」独立行政法人・国立環境研究所健康影響検討班→熱中症速報などが参考になります
http://www.nies.go.jp/impact/

環境省:熱中症保健指導マニュアル
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual.html

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