環境・自然治癒力・ホメオパシー ニュートピックス;
食と環境病気と自然治癒力
トラコ先生inロンドン面白本と美術館・博物館
食と環境 病気と自然治癒力 BOOKS リンク


病気と自然治癒力
1


化学物質過敏症(その1)◇

私たちの日常生活のなかには実に多くの「化学物質」があります。この「化学物質」の多くは工業用に使われるもので、人類にとってはこれまであまり馴染みのない物質といってよいでしょう。
その数はいったいどれほどか、正確には誰も知りません。ここで一例として「東京都福祉保健局健康安全室環境保健課」の『環境保健の部屋』というHPのなかにある数字を見ると「5万種類以上」とあります。もうとても、一つ一つを追跡できる数字ではありません。
「化学物質」はまた、農業用殺虫剤(農薬)、一般家庭用の各種殺虫剤・殺菌剤(防カビ剤なども含む)にも多く含まれます。たとえば、誰でも利用する各種の塗装用製品(家庭塗料・ポスターカラーなど)や芳香剤、防虫剤、ガーデニングの農薬にも使われています。どんなところにも含まれていると考えて差し支えないでしょう。
そして今、さまざまな「化学物質」が人のからだに悪影響を与えることがわかってきました。今回から、それについて考えます。

●身のまわりの化学物質-例:ホルムアルデヒド

たとえば、家のなかに普通に存在する化学物質にしても、10や20ではありません。
みなさんのお宅の居間にもある飾り棚やテーブル。こういった家具から変な臭(にお)いはしないでしょうか? 実は、これらの家具の製作過程では、合板を接着するのに「ホルムアルデヒド」という物質が使われているかもしれません。
では、ホルムアルデヒドという化学物質は、どんなものなのでしょう? まず、そこからみてみましょう。

ホルムアルデヒドは「刺激臭」があり、「無色」の気体です。また水に溶けやすくて(水溶液は「ホルマリン」です)、消毒剤や防腐剤(理科室にある「ホルマリン漬け」を思い出してください)として使われます。さらに、いろいろな樹脂の原料ともなります。
そしてその樹脂は、接着剤や塗料に利用され、また繊維の加工などにも利用されます。とても広く利用される材料なのです。

○人への具体的な影響
・・・吸入または接触により、さまざまな部位の粘膜に刺激を与えるとともに、喉などの呼吸器や目、皮膚にも炎症を引き起す可能性があります。なお、ホルムアルデヒドや、ホルマリンを含むホルムアルデヒド水溶液は、法律では「医薬用外劇物」に指定されているほど「毒性」が強いものです。

【ホルムアルデヒドによる中毒症状】

1.急性中毒
ホルムアルデヒドのガスを吸入すると、眼、鼻、呼吸器が刺激されて、くしゃみや咳、涙、涎(よだれ)が出ます。さらにガスが高濃度になると、呼吸困難を来したり、肺浮腫の発生に至ることもあります。

2.慢性中毒
吸入または接触により、結膜炎、鼻咽喉炎、しつこい皮膚炎を起す可能性があります。


●身のまわりの化学物質-例:有機リン

さらに私たちの家庭には、トイレや台所、風呂場で使われる各種の洗剤、除菌剤、防虫剤、ハエ・蚊やゴキブリ退治などの殺虫剤・・・があります。これらは便利なようですが、役に立つということはそれなりに強烈な成分が含まれているのだということを忘れてはいけません。
ゴキブリのような生命力の強い生物が「あっ!」という間に死んでしまうということが、いったい何を意味するのか? 考えればわかることです。

たとえば「有機リン系」の殺虫剤は、農薬として広く使用されてきました。何と言っても、殺虫剤になるわけですから、そもそも毒性が強いわけです。
この系統の殺虫剤は、ドイツのバイエル社によって何十年も前に開発されたのですが、それも毒ガス兵器の「神経ガス」を開発する研究のなかから副次的に生まれたようです。とりあえず、毒ガス兵器を農薬にすることもできないので、毒性を弱くするための研究が行われ、低毒性の化合物が登場したのです。

【農薬として使われているEPN】
通常「有機リン系農薬」とは、パラチオン、メチルパラチオン、EPN、メチルジメトンの4種類を意味します。しかし現在では、EPN以外の製品は製造も使用も禁止されていますから、法的にはEPNだけが「合法的に」存在しているわけです。したがって逆にいえば、EPNの過剰な使用を制限するために、法的な規制が存在します。たとえば土壌汚染対策法では、EPNを「有機リン化合物」として「特定有害物質」としています。EPNの指定基準値および地下水基準値は「検出されないこと」です。

【有機リンの中毒症状】
発汗、縮瞳(しゅくどう)、よだれ、筋れんしゅく(筋肉の収縮・弛緩の繰り返し)などの特徴的症状があり、さらに血清および血球のコリンエステラーゼ活性の著しい低下が起ります。重症の場合は、徐脈(脈拍数が減少する)、肺水腫、呼吸障害などを招き、昏睡状態から死亡にも至ります。

●農薬散布、工事現場、新築のわが家・・・化学物質過敏症

このように、身近な化学物質をほんの二つほど取り上げても、かなり問題があることがわかります。ですから、今や私たちは、人類がかつて経験したことのない凄まじいほどの「化学物質の海」のなかに漂っているのです。
言ってみれば、人類全体が『人体実験』をされているようなものなのです。しかも、実験室は地球全体なのです。

いろいろな原因不明の症状、たとえば湿疹、からだのだるさ、無気力、頭痛・・・。大きな病院で検査しても、原因がわからない。こんなことはいくらでもあります。何しろ、人体に関してわかっていることは、現代の医学レベルをもってしても「わずか1割程度」と明かす有名な医学者もいるくらいです。ですから実際問題、ほとんどわからないという情況なのです。
そうなると、何でもかんでも「アレルギーです」「更年期障害です」などという医師の「診断」を真に受けていては、自分の健康は守れないということでしょう(責任ある診断を心がける医師なら、正直に「わかりません」というはずです)。
今では、さまざまなアレルギー症状をもつ患者が「化学物質過敏症」と診断されているようです。しかし、こんな病名が登場する以前は、患者はみな「てきとうな病名」を付けられていたはずです。もちろん、患者の側としては、結果として良い治療が受けられればいいわけですが、そういう方は少なかったでしょう。最近はたいてい、ご近所に工事の現場ができてから体調が・・・とか、すぐ近くの農家の農薬散布が始まってから体調が・・・とか、新築のわが家に引っ越してから体調が・・・など、何らかの具体的な出来事を機に「症状が劇的に悪化する」ことを本人が自覚して、化学物質過敏症が発覚するようです。

【症状は急に来る】
化学物質過敏症は、ある日急にその病気になるというより、それまでに「体内に蓄積された化学物質」に環境変化で「最後の一押し」が加わったとき、本人も自覚できるほどの症状が表れるというほうが真実に近いのでしょう。あの「花粉症」の発症も似ていますが、実際に「花粉症」自体が化学物質過敏症の一つといえるかもしれません。

このように、私たちの身の回りに存在している、実にさまざまな「化学物質」(電磁波なども含め)に心身が敏感に反応し、皮膚湿疹や喘息、精神的抑うつ・・・、実に多くのさまざまな症状が激化して、日常生活に大きな障害を生じるに至る・・・それが「化学物質過敏症」です(英語名:Chemical Sensitivity;CS)。
この病気は、重症になると生活そのものがまったく成り立ちません。化学物質の多い場所(都会)に住むことができない、仕事にいけない・学校へ通えない(外に出られない)など、人生そのものが危機に直面します。一時的に転居するケースも多く、当然、仕事をあきらめざるをえない人もいるのです。また、家族と共に生活できないケースも出てきます。

※化学物質過敏症は、日本では「CS」と呼ばれますが、欧米ではMCS(MultipleChemical Sensitivity:多種類化学物質過敏症)という略称が一般的です。なお日本国内では、北里大学などで研究が進められているようです。

【残留農薬などの規制、283種類から799種類に】
2005年11月10日、政府は、農薬の残留などの理由によって、食品の販売禁止の対象となる化学物質を、現行より大幅に増やす「改正食品衛生法」を2006年5月29日に施行することを決めました。対象となる化学物質が「283種類」から「799種類」に増やされました。

<参考サイト>

農林水産省/消費・安全局/農産安全管理課/農薬対策室
http://www.maff.go.jp/nouyaku/

ホルムアルデヒドのデトックスは、ホメオパシージャパン
http://www.homoeopathy.co.jp/

このページのTOPへ戻る

Copyright©2004-2005 日本ホメオパシー医学研究会 All rights reserved.