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病気と自然治癒力
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◇ 疲労・インフルエンザ・自然治癒力 ◇

●疲労感は大きなサイン!
 
一般的な常識として、一日中働いたり勉強したりすれば、誰もが「疲れ」ます。その「疲れ」を翌日に引きずらないために、私達は栄養のある食事をとり、ゆっくりお風呂に入ったりするわけです。また、十分に良質な睡眠をとらなければならないのです。
実際に元気な子どもの頃、運動会の翌日とか遠足の翌日とか、かなり疲れていても一晩ぐっすりと眠ったら、翌朝は別人のように元気・・・ということはいくらでもありました。
しかし、ある程度年齢を重ねると、そういう壮快な経験がだんだんと少なくなっていきます。よく言われる「疲れが残る」という感じです。

もちろん、この「疲れが残る」という現象がすぐに「病気」と結びつくとは限りません。加齢によって、どうしても体力回復に時間がかかるようになってくるのです。しかし、いつもと同じように「今日は、疲れたよ。もうクタクタ」と言っても、場合によってはまったく意味が違う重大なケースもあります。
なぜと言うと、疲労感はときとして大きな病気のサイン(前兆)だからです。


●疲労は「症状」です! その原因が問題です!

さて私達は、いわゆる『疲労』というものをどれだけ知っているでしょうか?
たとえば、仕事で遅くまで長時間働けば、当然のこととして疲れます。マラソン競技やトライアスロン競技に出場すれば、体重が数キロ減っても不思議ではありません。しかし、肉体をそれほど酷使していなくとも、非常な疲れを覚えた経験はないでしょうか?

短時間であっても非常に緊張するような場合には、2時間や3時間の仕事でもグッタリ疲れるものです。たとえば、偉い人が出席する重要会議や、絶対に失敗できないプレゼンなどがあると、相当な疲れを感じないでしょうか?
あるいは、入学試験が終わったとたんにからだの力が抜けてしまったような、急激な疲労感を覚えた経験はないでしょうか?

実は、緊張感などによる心理的ストレスは、私達に大きな疲労感を残します。それは、人体に備わる自律神経系のシステムに、かなりの負担を強いるからです。
自律神経系は、交感神経と副交感神経からなりますが、交感神経はいわゆる《 Fight or Flight 》をつかさどる部分です。動物が敵に出くわした場合、瞬時に《相手と戦うのか、逃げるのか》を判断することになります。当然ですが、相手の方が強いと感じれば「逃げる」選択をしなければなりません。
自然界の動物には、かつての日本軍隊のような『玉砕』は選択肢にないでしょう。まさに、瞬時に「倒せる相手」か「自分にはかなわない相手」かを判断して、行動に移す必要があります。このとき交感神経が優位となります。そうなると、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が放出され、運動器官への血液供給が増えるなど、臨戦モードに入ります。
人間でも同じです。「臨戦モード」が必要とされる状態では、交感神経が優位になります。入学試験や卒業試験が終わるまで、あるいは家族が入院して手術をして退院するまで、なぜか体力も集中力も続いたりします。
ただ、ここで勘違いしてはならないのは、あくまで非常時の「臨戦モード」が役にたったということです。このような非常時モード(国でいうと『戒厳令』のような体制)が長く続いたらどうなるか、考えればわかることです。自律神経のバランスが崩れ、さまざまな不具合が発生します。


●「疲労」は「生きるエネルギーが少なくなっているぞ」のサイン!

さて、眠っても眠っても疲れがとれない。いやな疲労感がからだに染み付いている。こういう方はとても増えています。
こういう場合、病院で検査をしてもはっきりした診断は出てこないことが多いようです。医師は「かなりお疲れなんじゃないですか? 無理をしないで少し休まれたらどうですか?」というかもしれません。
でも、それくらいの話で会社に休暇願いを出すこともできないでしょう。では、どうすればいいのでしょう?

まず、疲労の原因を自分なりに考えてください。普通に生きていれば十分疲れるのです。でも何か無理がある、何かが大きな負担になっている、それが何かが少しでも自覚できれば、大いに助けになります。
たとえば、ホワイトカラーのサラリーマンの場合(事務系でも技術系でも)には、疲れの原因の相当部分が《脳》の疲労でしょう。仕事で緊張が続き、思考作業が長く続くと《脳》が疲労します。それは軽い肉体疲労のように、単に栄養を補給して睡眠をとるというだけでは回復できません。
毎日のように緊張を強いられ、ストレスがどんどんたまる人は、そのストレスが脳を疲労させ、脳内の状態にすら影響を与え始めます(たとえば、脳内伝達物質セロトニンの減少など)。
こうして、いわゆる『抑うつ』状態に入り、疲労感は眠っても眠ってもまったく払拭されません。ましてや、○○○ドリンクや○○大王などという市販薬で元気になるはずもないのです。

私達がしっかり認識しなくてはならないことは、疲労感は単なる「症状」であって、一時的にアルコールや薬物によってそれを取り除いても、一瞬だけその症状がなくなるにすぎない・・・ということです。
むしろ、疲労感というサインが出されている・・・『そろそろガス欠です』という警告ランプが点滅していることに注意すべきです。ですから、最悪の状態にならないよう、自分の責任で(多少の犠牲を覚悟の上で)休むしかないのです。
 
※実際に、ドリンク剤にはアルコール分が含まれていて、一時的な興奮状態を生むことが知られています。


●病気は肉体を蝕むだけではない

疲労に疲労が重なると、ストレスが極度にたまった状態へ、本格的な疲労状態へと、悪い意味でステップアップすることになります。
前述したように、脳の疲労が積もり積もると、いわゆる「抑うつ」の状態に入る可能性が高くなります(前述したように、脳内伝達物質のセロトニンが減少することなどが原因と思われます)。
そうなると、その人はもう、精神も肉体もぎりぎりの状態になりかねません。冷静に見れば、毎日が綱渡りという感じでしょう。

(注1.)一般に「抑うつ」状態が、疲労のたまった人に多くみられるようです。また、慢性疲労症候群という診断を受けた方にも、極度の疲労感や「抑うつ」傾向がみられることが多いようです。
(注2.)「抑うつ」状態と「うつ病」の境界線は明確ではないと言われますが、うつ病では「自殺志向」が強くみられるという意見もあります。


◇「抑うつ」の自覚症状◇

・いくら眠っても疲れが残る
・熟睡感がない、毎日の目覚めが悪い
・だるくて本や新聞を読む気がしない(好奇心の衰退)
・一つの仕事(学習)に集中できない
・異性に興味がもてない


◇うつ病を疑うサイン(自覚症状)◇

1 悲しい、憂うつな気分、沈んだ気分
2 何事にも興味がわかず、楽しくない
3 疲れやすく、元気がない(だるい)
4 気力、意欲、集中力の低下を自覚する(おっくう、何もする気がしない)
5 寝つきが悪くて、朝早く目がさめる
6 食欲がなくなる
7 人に会いたくなくなる
8 夕方より朝方の方が気分、体調が悪い
9 心配事が頭から離れず、考えが堂々めぐりする
10 失敗や悲しみ、失望から立ち直れない
11 自分を責め、自分は価値がないと感じる など
  
「厚生労働省 地域におけるうつ対策検討会報告書」より


このように、「抑うつ」段階に至ってしまうほどの疲労は、肉体も精神(脳)も消耗してしまった状態であって、当然、その人の自然治癒力(免疫力)は低下しています。まさに、生きて行くためのエネルギーが枯渇しつつある情況です。
疲労というものが、自分でコントロール可能であれば、話は簡単です。たとえば、一日10時間の睡眠を半年間維持すれば「疲労が半減する」などというように。
しかし実際には、どんなにタフな人物も疲労に勝つことはできません。むしろ、おれは「勝てる」と思い込んでいる人が「突然死」したりします。またプライドの高い、精神的に強そうな人が「自殺」したりするのも、周囲で見聞きすることです。

※実際に、自殺した人について調査したところ、自殺前に半分以上の人が「疲労」や「からだのだるさ」を訴えていたという結果があります。


●インフルエンザに「特効薬」はない! 最後の頼りは自然治癒力

私達、現生人類(ホモ・サピエンス)は、長い進化の過程で苦しみながら、それでも生き残った生物です。ということは、それなりに強力な「防御力」が、もとからからだに備わっているのです。
中世ヨーロッパでペストが大流行したときも、ヨーロッパ人が全滅したわけではありません。都市によっては、3分の1の住民が死んだとか、半分近く死んだとか・・・いろいろなケ-スがあるでしょうが、とにかくヨーロッパ文明は生き続けました。

今、鳥インフルエンザ・ウイルスが、ヒトに感染するウイルスに変異する! と叫ばれています。同時に、20世紀初めのインフルエンザ(スペインかぜ)大流行の惨状が書き立てられています。
このとき、世界人口の約半数が感染したと言われますが、どのような経緯で死に至った人が多かったのか、明らかではありません。
当時は第一次世界大戦の最中であり、ヨーロッパは戦場でした。ロシアは革命状態、ハプスブルグ帝国、オスマン・トルコ帝国は崩壊真近。また、アジア・アフリカ・中東などの地域では、一般大衆は今よりさらに劣悪な医療環境に置かれていたはずです。
したがって、果たしてどのような情況が重なり合うと致死率が高まったのかなど、不明なことばかりです。しかし、ウイルス感染者が全員死亡したわけではありません(だから良かったということではなく、むしろ人間の生き残る力を再認識することも大事です)。

さらに、医師のなかには、インフルエンザ・ウイルスの脅威にばかり目を奪われるのではなく、インフルエンザ・ウイルス感染後に生じる、肺炎球菌などによる「二次感染」の恐ろしさに注意を向けるべきだとの声もあります。
また、テレビ・新聞・週刊誌などで最近大々的に取り上げられた事件(?)あの「インフルエンザ特効薬」の服用後、患者が「異常行動」をとったり急死したりという副作用の問題。日本人の死亡例も多数ということです。
ちなみにこの薬剤は、感染後48時間以内に服用すると回復が早まると言われるもので、言い換えると、特に服用しなくても治るということなのです。特効薬ではないのです。
驚くのは、日本人はなんと、スイスの製薬会社が作るこの薬剤の「7〜8割」を消費しているという事実。まさに、薬剤だけで健康を守ろうなどと考えるのは、自己否定ではないでしょうか?

私達は、どのような病気に関しても、とにかく「飲めば治る」などという薬品が誕生するのではないかと考えがちです。
しかし、多くの医師が「病気はくすりで治すのではありません」とアピールしていること自体を見ても、まず自分の生きる力を充実させることが肝要だと判断できます。そして私達は、そのために(生きる力を養うために)医師の力を借りるというのが、患者としてのあり方ではないでしょうか?

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