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病気と自然治癒力
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◇ 新型インフルエンザ・ウイルスがすでにタミフルに耐性を獲得 ◇

世界中が備蓄に走る「特効薬」だが・・・!?

現在、世界のいたるところで「新型インフルエンザ」に関する話題でもちきりです。どこの国でも「予想患者数」や「推定死亡者数」を仰々しく発表して、対策班を設けています。
しかし、この対策班の主な仕事は何かというと、スイスのロシュという製薬会社が製造する抗インフルエンザ薬(リン酸オセルタミビル製剤:商品名タミフル)をいかにたくさん買い付けるかということのようです。
ところがここにきて、この「特効薬」の「威光」にも陰りが差しはじめました。すなわち、鳥インフルエンザ・ウイルス(高病原性と低病原性の2種がある)のなかでも病原性の強い高病原性ウイルス(H5N1型)に感染して死亡したベトナム人患者二人から、タミフルに耐性を持つウイルスが検出されたのです⇒[英国:オックスフォード大学とベトナム:ホーチミン市の病院によるチームが、米医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に発表]。
ベトナム、タイ、インドネシアなどでの、一連の高病原性鳥インフルエンザ・ウイルス感染による死亡者のなかでも、タミフル耐性ウイルスに感染した患者の死亡例は初めてと考えられています。

《薬剤への耐性とは?》
近年になって、抗生物質が効かないという話がよくニュースに登場します。たとえば、MRSA=メチシリン耐性黄色ブドウ球菌という言葉を知っている方も多いはずです。この「黄色ブドウ球菌」そのものは、人の周りにどこにでもいるありふれた細菌ですが、メチシリンという抗生物質に耐性を持ってしまったがため、体力や免疫力の低下した入院患者やお年寄りにとって、大きな脅威になったのです。もちろん、抗生物質がターゲットとしているのは「細菌」であって「ウイルス」ではありませんが、高病原性鳥インフルエンザ・ウイルスがタミフルに対して耐性を獲得したのと同じことです。すなわち、ここで「耐性」というのは、薬剤が効果を発揮できないように、その病原体(病原性微生物:細菌やウイルス)が変化してしまったということです。さらに、抗生物質や抗ウイルス薬が効かなくなるだけでなく、農薬なども効力を失うことがあります。


感染から48時間以内に服用できるのか?

抗インフルエンザ薬タミフルは、インフルエンザ・ウイルスに感染後48時間以内に投与を開始することが基本です。またタミフルは、A型インフルエンザ・ウイルスの粒子表面にあるNA(ノイラミニダーゼ)を選択的に阻害して、新たに増殖して形成されたインフルエンザ・ウイルスが細胞外に遊離(放出)されることを抑制します。
したがって、インフルエンザ・ウイルスの増殖を抑制し阻害する効能があるとされます。逆に言うと、増殖を抑制・阻害するだけで、ウイルスを殺すことはありません。

さらにここでは「感染から48時間」というのも、実際には大きな壁になります。これがたとえば「発熱後48時間以内」ならまだわかりますが、自分がウイルスに感染した瞬間を知ることは、普通の人間にはできません。

《感染後48時間以内の理由は?》
この「48時間」とは、人体内部でインフルエンザ・ウイルスが最大に増殖するのに必要な時間なのです。ですから、その後服用しても意味がないとまで言えるかどうかわかりませんが、せいぜい回復を多少早めるだけというのであれば、わざわざ副作用の危険を冒せるかどうか、まさに自己責任で決定するしかないでしょう。

《タミフルの副作用》

2005年11月18日に米国食品医薬品局(FDA)が発表したもの・・・日本でタミフル服用の子供が12人死亡、さらに国内情報でも・・・タミフル服用後の異常行動(マンションから飛び降りて死亡、また飛び降り未遂など)・・・等が多く報告されています。

<参考サイト>

厚生労働省:報道発表資料「タミフルに係る米国食品医薬品局(FDA)関係情報」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/11/h1118-2.html

厚生労働省:報道発表資料「医薬品・医療用具等安全性情報」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/06/h0624-2/index.html#gai3

「2.重要な副作用等に関する情報」から一部引用(以下)

【3】 リン酸オセルタミビル

《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 [副作用(重大な副作用)]

肺炎:肺炎の発症が報告されているので、異常が認められた場合にはX線等の検査により原因(薬剤性、感染性等)を鑑別し、適切な処置を行うこと。

精神・神経症状:精神・神経症状(意識障害、異常行動、せん妄、幻覚、妄想、痙攣等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行うこと。


ウイルスには「型」がある

インフルエンザ・ウイルス自体は、ウイルスの本来的な性格から常に変異を繰り返しています。人間にとっての1年は、ウイルスにとって100万年と言われるほど、まさに刻々と変異を遂げています。
よく知られているように、インフルエンザ・ウイルスには、次の3種類があります。

・A型:人・ブタ・鳥・アザラシなどに感染
・B型:人だけに感染
・C型:病原性が弱い⇒かぜと同じレベル

なかでも感染力が強いのが、やはりA型です。過去に、世界各地でインフルエンザが大流行したときには、そのウイルスはほとんどA型だったとみられています。
さらにA型には「亜型」と呼ばれる「変異種」が多く存在します。A型ウイルスは、10年に1度程度の大流行を起こしますが、それは大きな変異による新型が現れやすいからです。

【A型の特徴:変異しやすい】→爆発的な流行がある
               アジア型(H2N2)
               香港型(H3N2)
               ソ連型(H1N1)がある
  
そして今、世界中で騒がれている高病原性鳥インフルエンザ・ウイルスもA型で、H5N1型に分類されているタイプです。
A型では、ウイルス粒子表面のHA(血球凝集素:ヘマグルチニン)と、NA(ノイラミニダーゼ)というタンパク質の組み合わせにより、多くの亜型に分類されます。

・HAは15種類(H1〜15)
・NAは9種類(N1〜9)

があるので、その組み合わせにより、15×9=135種類が存在します。

※B型ウイルス、C型ウイルスは、それぞれ1種類だけしか存在しません。


ウイルスというのは、いったい何者か?

ウイルスは病原性微生物の一つです。しかし、生物と呼べるのかどうか、かなり微妙なところにいます。
まずウイルスは「細胞質」などを持ちません。すなわち、タンパク質と核酸からなる「粒子」なのです。生物は通常、細胞内にDNAとRNAという二つの核酸を持ちますが、ウイルスの粒子内には、どちらか一つだけしかありません(インフルエンザ・ウイルスでは、RNAのみ)。
またウイルスは、単独では増殖できません。宿主を見つけて寄生して、はじめて増殖できるのです(宿主の細胞が作るエネルギーを利用して増殖)・・・ウイルスは、他人の褌(フンドシ)で相撲を取るという生き方をします・・・。

そして、人から人へ感染する過程で、インフルエンザ・ウイルスは変異します。・・・人はインフルエンザ・ウイルスに感染すると、それに対する免疫ができます。免疫のある人が増えると、インフルエンザ・ウイルスは増殖できなくなります。その状態を突破するため、ウイルスは遺伝子レベルの「小変異:マイナーチェンジ」を繰り返すのです。
さらに複雑な事情もあります。前述したように、A型インフルエンザ・ウイルスは、人のみに感染するウイルスではありません。ブタもA型インフルエンザ・ウイルスに感染します(現在、高病原性鳥インフルエンザ・ウイルスの感染患者は、鳥由来のインフルエンザ・ウイルスに感染しています)。
このような事情で、人、ブタ、鳥のインフルエンザ・ウイルスが混ざり合って、遺伝子レベルで組み換え現象が起きる可能性が生まれます。・・・ブタの体内で「人」のインフルエンザ・ウイルスと「鳥」のインフルエンザ・ウイルスが混じり合って、人に感染する「新型」が登場する可能性が高いと言われます。
このような変化は「小変異」ではなく「大変異」ですから、人にはまったく免疫ができていません。それで、20世紀初頭のスペインかぜのような大流行が起こるというのです。


インフルエンザでは、実は「合併症」が怖い

この「大変異」が起こるのではないかと危惧する人達に、あたかもタミフルが「特効薬」であるかのような宣伝が、世界中で行われています。
かつての「スペインかぜ」も「鳥インフルエンザ・ウイルス」が大変異して、人に感染する新型ウイルスになったことが原因だ、大変な事態が迫っている! ・・・という感じです。
しかし、前述したように、タミフルとて万能ではありません。インフルエンザ・ワクチンもまた、副作用(健康被害)を生むとともに、医師のなかからも「効果がない」という声が上がっています(下記:ワクチントーク全国のサイト内=前橋市医師会による調査「前橋データ」等を参照してください)。

ここで考えるべきは、自分の健康に責任を持つのは自分だということ。また、小さい子供さんや体力の衰えたお年寄りがいれば、当然ながら、近くにいる近親者がしっかりサポートすべきだということです。特にお年寄りの場合は、肺炎を併発することが大きな危険を招くと指摘されています。
政府も製薬会社も、自治体も学校も、別にアナタを命がけで守ることはありません。ワクチン接種もタミフル服用も、まさに「自己責任」の世界なのです。ですから、自分の健康をしっかり管理するという決意が一人ひとりに必要でしょうし、そのためには、多くの情報を自分で吟味する姿勢が求められます。

<参考文献>
由井寅子の予防接種と医原病入門(ホメオパシー出版刊)

<参考サイト>

ワクチントーク全国
「いらないインフルエンザワクチン」参照
http://www.ne.jp/asahi/kr/hr/vtalk/index.htm

国立感染症研究所:感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html

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